クリオネってどんな生き物?生態は?飼育できる?餌は何?

軟体動物

ふわふわと泳ぐ透明な体と翼をもち、「流水の天使」「氷の天使」と呼ばれるクリオネは、オホーツクなど冷たい海で生息する軟体動物門腹足綱裸殻翼足目ハダカカメガイ科の一種です。今回は、クリオネについて解説していきます。


発見と名前の由来

1773年に英国王を乗せたグリーンランド沖へのホエールウォッチングでイギリスのフィップ船長が発見したとされています。名前の由来は、ギリシア神話に登場する文芸の9人の女神ムーサイの一人で「祝福する女」を意味する「クレイオ」といわれています。正式な名前はクリオネ・リマキナ。ナメクジのような海の女神という意味です。

北海道でみられるクリオネは体長2〜3cm。殻を持たない巻貝の仲間ですが、成長すると殻が外れて貝だけになり、天使のような姿になります。和名ではクリオネのことを「ハダカカメガイ」と言いますが、その由来はこんなところにあるのです。

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クリオネの生態

クリオネのえさ

透明な体に左右の翼のような足、ちいさな頭部の角に、透けて見えるピンク〜橙色の器官が美しいクリオネですが、クリオネは、その姿、名前からは意外な獰猛な肉食の生き物なのです。ミジンウキマイマイという浮遊性の巻貝のみを食します。

海中でミジンウキマイマイを見つけると頭のように見える角のあるところからバッカルコーン(口円錐)といわれる六本の触手をのばし、餌を抱え込むようにしてその養分をゆっくりと吸い取ります。

クリオネの生殖、寿命

雌雄両性の生き物で、生殖は、2匹のクリオネが腹の部分をくっつけるとそのどちらかがオスになり、もう一方がメスになります。そして、メスになった方に卵ができ、約4時間後くらいにはゼリー状の約100〜1000個の卵の塊を海中に放出します。卵は3〜4日で孵化し、つぼのような殻を持った「ヴェリンジャー期幼生」になります。この頃は主に植物性プランクトンを食します。

2週間後には殻を捨て、体に繊毛を持った「多輪形幼生」になり、約1年ぐらいで成熟し、2〜3年の寿命といわれています。北極海や北大西洋などの寒流域で生息し、北海道にも流氷とともにやってきます。

そのほか生態

クリオネは、ふわふわとしている姿通りに、遊泳力は弱く、流水とともにやってきて流水とともに去っていくといわれています。「パッチ」という海流などで自然に集まる群れのような状態で生息しますが、海水が7割程度凍ってもその下で生息することができ、海流が弱いところで半年から一年に一度ミジンウキマイマイを食すれば生きていけるといわれていますが、詳細は確認されていません。水深0m〜600mに生息し、海水に溶けている酸素を体表で皮膚呼吸して体内に取り入れます。

クリオネは飼育できる?

海水を冷蔵庫で冷やすことで飼うこともできますが、海水から酸素を吸収しているので、1週間から2週間に一度は、新しい海水に取り替えることが必要となります。生息できる水温は通常0℃〜5℃となります。10℃以上になると弱ってしまいますので、もし冷蔵庫で飼うとしたら、水温には気をつけましょう。

飼育についてはわかっていないことが多く、餌についてもさまざまな説があります。基本的に食べるのはミジンウキマイマイのみなので、これを与えられればベストです。アミエビや、水中のバクテリアなんかを食べるという説もあるのですが、実際のところは謎に包まれています。そもそもエサをどのぐらい食べるのか、も謎なところが多いです。飼育においては試行錯誤が必要になると思われます。飼育キットなんかも売られているようです。

クリオネが見られる施設

八景島シーパラダイスアクアワールド茨城県大洗水族館などでは冬期限定でクリオネの群れが見ることができます。天使と悪魔の両面を持つクリオネの幻想的な姿を見られるなんて楽しみですね。

 

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最後に

天使のような姿をしたクリオネ。神秘的な生き物ですが、生態はまだまだ疑問が残されています。見てみたい方は、見られる施設へ行ってみてはいかがでしょうか。

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