ギフチョウを解説!生態、生息域は?採集は可能?

あなたは、ギフチョウと呼ばれる蝶を知っていますか。アゲハチョウ科に分類される日本固有のチョウで、「春の女神」と呼ばれることもあります。個体数が減少していることでも知られ、保護活動も盛んにおこなわれています。ここでは、そういったギフチョウについて解説していきます。


大きさや生息域

ギフチョウは秋田県から山口県のあたりまでの26都道府県に生息しています。日本固有のチョウで、海外での生息は確認されていません。前翅長は3cm強ぐらいで、これはだいたいモンシロチョウと同じか少し大きいぐらいの値です。

ギフチョウの外見の特徴

ギフチョウはアゲハチョウの仲間で、外見もアゲハチョウに似ています。黄色がかった白色と黒色のツートンカラーで、翅の下側に赤やオレンジ、灰色の模様が入ります。見た目上オスとメスにほとんど違いはありません。

ギフチョウの生態

ギフチョウは年に1回発生し、成虫が見られるのは3~6月ごろになります。もともと数が少ないうえに主に落葉広葉樹の林に生息しているため、普段生活しているうえで見ることはほとんどないでしょう。完全に放置された森よりは、適度に人の手が入った里山のような場所を好みます。

他のチョウと同じように花の蜜を餌としており、スミレなどの山野草の花の蜜、あるいは桜などの木の蜜を吸いに来ることもあります。一方で、黄色い花には集まらないのも特徴です。

幼虫の食草や生態

幼虫の食草はカンアオイと呼ばれる植物の仲間になります。葉の形はカラーや里芋の葉によく似ています。

幼虫は黒っぽい色をしており、孵化してから食草を食べて育ちますが、幼虫期間は長くなく夏ごろには地面に降りて落ち葉の裏などで蛹になります。蛹の期間は非常に長く、越冬も蛹で行います。そして来春の発生時期を待つことになります。

ギフチョウの個体数の減少

冒頭でも述べましたが、ギフチョウは個体数が減少しているチョウとしても知られています。もともとは普通種でしたが、近年開発が進むにつれ数は著しく減少していき、現在は国際自然保護連合には準絶滅危惧種、日本の環境省には絶滅危惧Ⅱ種としてレッドリストに記載されています。

そのため、日本では保護活動も盛んにおこなわれており、保護条例を出している自治体もあります。一口に保護活動といっても生態調査から生息数の調査、生息地の保護まで様々な活動が行われています。一方で、日本各地で現在進行形で道路の建設などの開発も行われていることは容易に想像がつきます。そのためか、場所によっては保護活動がうまくいっていないところもあります。

人間との関係

ギフチョウの保護が話題になったこともあり、地域のシンボルとしてギフチョウを利用しようという運動も起こっています。ギフチョウの観察会を行ったり、ギフチョウをシンボルとした商品を販売したりといった感じです。

また、国会図書館に所蔵されている『東莠南畝讖』など、何百年も昔の本や絵画などでギフチョウが描かれているものも発見されています。今に限らず、人々との関わりがあったチョウだといえます。

採集はできる?

ギフチョウの採集は可能ですが、地域によっては採集禁止となっているところもあります。そのため、採集禁止の地域でないか事前に確認をしてから採集を行うようにしてください。

ギフチョウとヒメギフチョウ

日本に生息するギフチョウの仲間にはヒメギフチョウと呼ばれるものもいます。見た目はギフチョウに酷似しており、見分けるのは難しいです。全体的にヒメギフチョウのほうが小さい、前翅の斑紋列がヒメギフチョウのほうが規則的であるなどの違いがあります。

なお、海外にもギフチョウの仲間の種類がいて、シナギフチョウとオナガキフチョウの2種が中国に分布しています。

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最後に

日本固有のチョウの数がこのように減っているのは残念なところがあります。保護活動が軌道に乗って生息数が回復するとよいですね。

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