タニシは腹足綱原始紐舌目タニシ科に分類される巻貝の総称です。水槽の掃除屋などとも言われ、飼育されることも多い巻貝です。今回は、タニシに関する飼育などについてみていきたいと思います。
タニシの大きさや生息域、種類
一般的には殻の大きさは1cm〜8cmですが、5cm以下の種類が多いようです。南米や南極大陸を除く各大陸とその周辺の淡水に生息していますが、日本にいるタニシは主にマルタニシ、オオタニシ、ナガタニシ、ヒメタニシの4種類とされています。殻の巻き方は全て右巻きです。ナガタニシは琵琶湖だけに生息する固有種ですが、その他は身近な水田や川辺などに生息しています。
食用になる?
タニシは食用として食べる場合もあります。ジャンボタニシと呼ばれる外国のタニシが食用としてよく利用されますが、ほかの種類でも食べることはできます。ただし他の淡水動物と同様寄生虫の宿主ともなるので、もし食用にする場合は十分に加熱するようにしてください。十分に火を通すことなく食べるのは危険です。
タニシの食性
特徴はその食性で、岩などの表面に着生した藻などを削り取って食べたり(グレイザー)、水底の微生物の死骸などの沈殿物を食べたり(デトリタス)、水中の縣濁物を食べて水を濾過する役割を担います。そのため、水田のような環境が変化しやすい水域にも生息し続けることが可能となっているのです。また、水槽の掃除屋、アクアリウムのタンクメイトと呼ばれるようにメダカなど水質を良好に保つ必要がある生物を飼うときにも役立ちます。
タニシの飼育法や餌
タニシを飼う際には、必ずしも水合わせは必要ありませんが、別の容器で様子をみて元気かどうか、寄生虫などを持っていないか確認してから、水槽に移すとよいでしょう。準備するものとしては、エアポンプと濾過装置、少し細かい砂程度、あとは真水が挙げられます。
水質になじむとタニシは冬も越してくれますが、水温が下がると動かなくなって死んでしまったように見える場合もあります。でも水温が上がるとちゃんと動き出すことが多いようですので焦ってすぐに処分してしまうことのないようにしましょう。餌は水槽のどこかに苔が生えていたり、微生物の死骸や他の魚の食べ残しがある環境であれば、特に必要はありません。
ちなみに、メダカの卵をタニシが食べてしまうという話もありますが、よっぽど餌が不足していない限りは好んで食べるわけではありませんし、むしろ親メダカが卵を食べてしまうことが多いようです。
水草を入れる際の注意点
水草は入れてあげる方がよいですが、水草のために日当りがよいところをと考えて直射日光があたる場所に置くと、夏場は水温が上がりすぎて他の魚共々元気がなくなってしまいます。タニシは基本的には一緒に飼う淡水魚の飼育環境条件に合わせながら飼うことができ、しかもその後も環境調整してくれるアクアリウムの強い味方です。
タニシ採集における注意点
タニシはペットショップなどで売っていますが、自分で捕まえようと思う方も中にはいらっしゃるかもしれません。その際に注意してほしいのは本当のタニシかどうかということです。川や田んぼに行けばすぐ見つかりそうな感じがしますが、実際には似たような他の生物であることが多いです。
例えばジャンボタニシなどてっきりタニシと同じようなものだと思って水槽に入れてしまうと、水草をねこそぎ食べたり、卵を大繁殖させたりして大変なことになる場合があります。タニシは卵胎生で、卵ではなくかなり成長した小貝を産みます。また、良く似た貝でモノアライガイやサカマキガイなどもありますが、こちらも急激に増殖してしまいますので間違って入れないように気をつけましょう。
最後に
タニシは基本的には一緒に飼う淡水魚の飼育環境条件に合わせながら飼うことができ、しかもその後も環境調整してくれるアクアリウムの強い味方です。水槽や水草に付着する苔や枯れた水草などを食べて水槽もきれいに保ってくれます。あなたのアクアリウムに導入してみてはいかがでしょうか。