アホウドリについて解説!生態は?名前の由来は?生息地は?

鳥類

空を滑るように大きな翼で飛翔するアホウドリ。ミズナギドリ目アホウドリ科に属し、特別天然記念物に指定されている鳥でもあります。今回はアホウドリについて、生態や名前の由来、それと関連する個体数が減少した理由などをみていきたいと思います。


大きさや外見

体長は84cm〜100cmで、翼を広げた横幅は190cm〜240cmにもなります。体重は3.3kg〜5.3kgとされ、翼の羽根は白く、後頭部から後頸部にかけて黄色い羽根が、尾にかけては先端の黒い羽根がみられます。ヒナは綿のようなふわふわの羽根をもち、黒や暗い褐色〜灰色で成長に伴い白い部分が広がってきます。

アホウドリの種類

アホウドリは「信天翁(シンテンホウ)」と呼ばれることもあり、その仲間はクロアシアホウドリ(下の写真)やコアホウドリなど13種類いるとされています。そのうち10種類は南半球、1種類は赤道付近、3種類が北半球で生息していますが、北半球で生息する3種類のうち純粋のアホウドリは日本の伊豆諸島の鳥島で生息しています。

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しかし、このアホウドリの繁殖地にもなっている鳥島の火山活動への懸念により聟島への移住計画が進んでおり、このことはNHKのダーウィンが来た!でも取り上げられました。他の2種類はクロアシアホウドリ、コアホウドリで、この2種類も日本国内でみることができます。

アホウドリの生態や生息地

これら北半球でみられるアホウドリは、夏季はベーリング海やアラスカ周辺で過ごし、冬季には繁殖のために日本近海へ渡り、伊豆諸島の鳥島や尖閣諸島北小島、南小島、小笠原諸島などで繁殖する姿が確認されます。

アホウドリは生粋の海鳥で、魚類やエビ、カニなどの甲殻類、軟体動物や動物の死骸を食し、繁殖期以外は海で過ごしますが、繁殖期には陸で集団を形成して過ごします。首をのばしながら嘴をならして求愛し、10月〜11月に1個の卵を生み、オスとメスが交代で卵を暖めます。2ヶ月すぎるとヒナに帰りますが、完全に美しい大人の羽根になるには10年近くかかります

アホウドリの個体数の減少と保護

アホウドリの名前には個体数が減少した理由が隠れています。鎖国政策で外洋への航海が困難だった江戸時代にも伊豆諸島に多くのアホウドリが生息していることは知られていたといいます。江戸時代後期の記録では八丈島の南ではるか上空まで多数の白い鳥が舞い上がって、海にあたかも白い柱を立てたという記載があるほどです。

ジョン万次郎など江戸時代に船が難破し、孤島に流れ着いたときにも食用とされたことがあったということが伝えられています。また、アホウドリの羽毛は羽根布団の材料となるために、19世紀後半になると大量に捕獲されるようになったのです。大きな体に上質の羽根を持っていたことや地上を歩く速度は遅く、人間に対する警戒感も鈍いためか容易に捕まってしまうことで「アホウドリ」と呼ばれるようになったといわれています。

アホウドリの捕獲は120人程度が鳥島に移住しての組織的な仕事として行われ、明治の末から昭和初期に大幅に減少してしまったのです。1910年にはや日本では捕獲が禁止され、保護政策は打競れていたとのことですが効果は薄く、1930年に鳥島を訪れた山階芳麿(のちに山階鳥類研究所を創設)は2000羽ほどに減少していたことを報告しています。

山階氏は他の鳥類研究者とともにアホウドリの捕獲を禁止するために奔走しますが、その後も乱獲はやまず、1933年には数十羽しか観測されなかったというのです。1958年には「鳥島のアホウドリ及びその繁殖地」として日本の天然記念物に指定され、その後特別天然記念物に指定されました。また1993年には国内希少野生動植物種に指定されています。

このような保護が奏功し、1951年にはまだ国内で30〜40羽しか生存が確認されなかったのに対し、2010年には2500羽が確認されるようになりました。

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最後に

美しく大空を長く舞い続けるアホウドリ。今後もその美しい姿を見せ続けてほしいものですね。

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