ツマアカスズメバチは、文字通りスズメバチの仲間のハチです。スズメバチと聞くと、怖いなどといった感情を抱く方が多いと思いますが、このスズメバチは日本でよく見るオオスズメバチやキイロスズメバチとは違った種類で、元来日本には生息していません。しかし、日本でも目撃されることがあり、外来種として入ってきているとされています。今回は、そういったツマアカスズメバチについてみていきたいと思います。
大きさや生息域
女王蜂の大きさは30mmほど、オスバチの大きさは24mmほど、働きハチの大きさは20mmほどです。日本でスズメバチといえばオオスズメバチを思い浮かべる方が多いと思いますが、このオオスズメバチは働きバチでさえ30mmを超えますので、それよりは小さい種類です。(オオスズメバチは世界でも最大のスズメバチです。)
東南アジア生まれのハチで、インド北部、パキスタン、アフガニスタン、ブータン、中国、台湾、ミャンマー、タイ、ラオス、マレーシア、インドネシアといった国々に生息しており、外来種として日本のほかにフランスやスペイン、ポルトガル、韓国でも見られます。
ほかのヨーロッパの国にもいるのではと予測されており、イギリスでも目撃例があったことがつい最近(2016年9月)公表されています。日本では2013年に対馬で初めて目撃され、2015年には北九州で目撃されています。
このツマアカスズメバチは非常に繁殖力が強いです。九州を中心に分布域を広げていると考えられますが、本州で広がっていくのも時間の問題であると思われます。
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オオスズメバチとどっちが強い?
ツマアカスズメバチとオオスズメバチでは、大きさが1.5倍ほど違いますので、オオスズメバチのほうが強いと考えられます。オオスズメバチはおそらく世界最強のスズメハチとも考えられます。
外来種と聞くと強いとか大きいとかいうイメージが沸きますが、ツマアカスズメバチに関しては海外のバカでっかい最強蜂が入ってきたとか、そういうことではありません。むしろ在来種より弱い種ではないかともされています。
ツマアカスズメバチの生態
ほかのスズメバチと同じように、ツマアカスズメバチは何千ものハチのコロニーが暮らす巣を作ります。高いところに巣を作る性質があり、駆除がしにくいことも問題になっています。我々がイメージするハチと同様、巣を守るため、獲物を殺すための手ごわい針を持っています。巣はたいていは50cm以上あり、なかには1mを超すものもあるようです。
食べ物
ツマアカスズメバチはハエやトンボ、バッタなど、数多くのほかの生き物を狩ります。基本的には日本のスズメバチと食べているものは差がないと思われます。
しかし、ここで問題なのはこのツマアカスズメバチはミツバチを好んで襲うことです。このため、日本のミツバチ、養蜜に対して影響が出ないか懸念されています。現在このツマアカスズメバチによる影響で最も懸念されているのはこの養蜜に関することです。対馬ではミツバチが失踪したとき、このツマアカスズメバチが原因ではないかとされることもありました。
ツマアカスズメバチの天敵
ツマアカスズメバチの天敵としてよく上がるのは、ハチクマと呼ばれる鳥です。「クマ」とついていますが熊ではなく鳥です。鷹の仲間で、スズメバチやアシナガバチなどの巣を襲い、その巣の中の幼虫や蛹を餌としています。このハチクマがツマアカスズメバチの巣をおそうことも確認されています。
かといってこのハチクマを使えばツマアカスズメバチを根絶できるの?といえばさすがに無理があると思われます。いずれにせよ、ツマアカスズメバチは繁殖力が高いため、広がっていくのも時間の問題であるといえます。
人を襲う?
人を襲わないのか?といえば答えはNoだといえます。しかし日本のハチでもちょっかいを出せば襲われることはありますし、このハチが特別人間を襲いやすいとかいうことはないと思われます。日本のハチの場合もそうですが、ハチやハチの巣を見つければ黙って速やかにその場を離れれば襲われることはないと思います。
最後に
繁殖力が強いので、どんどん広がっていく可能性は高いです。特別強い蜂ではなく、どこまで問題が出るのかわかりませんが、養蜜などへの影響も含め今後どうなるのか注目です。