クローンといえば、あなたは何を思い浮かべますか。一昔前には、クローン羊の「ドリー」が話題になりましたね。このクローンという言葉を知らない方はほとんどいないと思いますが、実際に何を意味するのかというといまいちわからない方も多いのではないでしょうか。今回は、クローン、そしてクローン動物とはどのようなものなのかについて、解説していきたいと思います。
そもそもクローンとは何?
クローンという言葉は、ひとことでいうと「同一の起源を持ち、尚かつ均一な遺伝情報を持つ核酸、細胞、個体の集団」(wikipediaより)を表します。「同一の起源を持ち、尚かつ均一な遺伝情報」というのは、もう少しかみ砕くととある1個の核酸や細胞、あるいは1個体を起源にしている、完全に同じ遺伝子をもつ核酸や細胞、個体の集団ということです。専門家になるわけでもないと思いますので、とりあえずは全く同じ遺伝子を持っているものの集まり、とでも捉えていただけばOKだと思います。
ちなみに、生き物は無性生殖を行う生き物と有性生殖を行う生き物に分けられます。無性生殖とは1つの個体で子孫を残す生殖のやり方で、有性生殖は配偶子(卵や精子など)の合体によって新たな個体を生み出す生殖のやり方です。
無性生殖の場合、1つの個体の分裂によって生まれた個体はすべて同じ遺伝子をもちます。このことは容易に想像がつくのではないでしょうか。言い換えれば、無性生殖によって生じた子は親のクローンだといえます。
無性生殖を行う生き物としてはミドリムシやアメーバ、ヒドラなどが挙げられます。サツマイモやシダ植物など植物にもこの無性生殖を行うものがいます。こう考えれば、クローン生物は身近なところにたくさん存在しているといえますね。
クローンの歴史
植物のクローンは現在でも園芸などで広く用いられる挿し木などで古くから作られてきましたが、動物のクローンは研究が遅れていました。現在のクローン技術のもとといえる核移植によるクローンは1952年のカエルによるものが最初です。1963年には鯉のクローンも作成されています。
では、われわれ哺乳類のクローンが初めてできたのはいつなのでしょうか。1981年につくられたヒツジのクローンが最初になります。現在では、ヒツジ以外にも豚や牛、マウス、イヌなどさまざまなクローン動物が作成され、牛などにおいて優秀な個体のクローンを作るなど、農業でも利用されています。
なお、哺乳類初のクローンとなったこのクローン羊は有名な「ドリー」とは別物です。次でなぜ、ドリーが話題を呼んだのかについて解説していきます。
クローン羊「ドリー」
1996年、クローン羊「ドリー」が作られ、話題を集めました。しかし、先程述べたようにこのクローン羊は以前にもつくられたことがあります。ではなぜ話題を呼んだのかといえば、「ドリー」がこれまで作成されたクローンとは違い、初めて体細胞から作られたクローンだったからです。
しかしこの「ドリー」は6歳で死んでしまい、ほかの羊に比べて早死にする結果となってしまいました。この原因はさまざまな説があります。たとえばクローン技術に欠陥があること、加齢している体細胞を用いたため、などが挙げられていますが、これだという特定はできていません。
クローン人間は作成できる?
哺乳類のクローンが作成された以上、人間のクローンも理論上は作成できることになります。とはいえまだまだ技術が十分でないことに加え、倫理面の問題などから、クローン人間の作出は法律で禁止されている国が多いです。
このことについては賛否両論がありますが、医学界なんかだとクローン人間の作成は問答無用でタブーとなっているようです。もし実際にクローン人間ができる、なんてことがあれば倫理面や宗教面などで大きな反響があることは間違いないでしょう。
最後に
クローン技術はうまく利用すればメリットは大きいですが、もし利用を誤ってしまうとマイナス面も大きいといえます。今後も良い方向へとクローン技術が発展していってほしいですね。