不思議な卵・ネコザメってどんなサメ?生態は?飼育は可能?

ネコザメは、ネコザメ目ネコザメ科に属するサメの一種です。別名としてサザエワリと呼ばれることもあり、日本の水族館でもよく見られるサメです。ここでは、このネコザメについて解説していきます。


ネコザメとは


By OpenCage Systems – http://opencage.info/pics.e/large_17591.asp, CC BY-SA 2.5, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=26251753
分類 ネコザメ目ネコザメ科
学名 Heterodontus japonicus
大きさ MAX120cmほど
生息域 日本沿岸(北海道を除く)、台湾や朝鮮半島、中国等の沿岸部

大きさや特徴

ネコザメ目ネコザメ科に属します。ネコザメの大きさは最大でも1.2mほどで、我々がイメージするサメのように大きなサメではありません。円筒形の体をしており、幅広い頭と豚のような形をした鼻が特徴的です。なお飼育下の個体では1mを超えることは基本的にないようです。

眼の上には突起があり、「ネコザメ(猫鮫)」という名前はこの突起を猫に見立てたことから名付けられています。別名として「サザエワリ」と呼ばれることもありますが、これはサザエのような硬い殻をも嚙み砕くことができることが由来となっています。

ちなみに英語ではネコザメを「Japanese bullhead shark」といいますが、これは目の上の突起を牛の角に見立てて名付けたそうです。

背びれが2つあり、背びれには鋭い棘が備えられています。これは天敵から身を守るのに役に立つと考えられています。体色は淡い茶色で、濃い茶色の縞模様が入ります。

画像を見ていただければわかる通り口の形も独特です。前方の歯はとがっているいっぽう、後方の歯は臼状で硬い貝殻であってもかみ砕くことができます。なんとなくかわいい魚ですが、かまれると相当痛いと思いますので、間違っても口の中に手を入れたりしないようにしてください。

生息域

ネコザメは日本沿岸(北海道を除く)に加え、台湾や朝鮮半島、中国等の沿岸にも生息しています。水深6~37m程度の場所に生息しています。

 

ネコザメの生態

ネコザメの食べ物

ネコザメは甲殻類や軟体動物、小さな魚などを餌としています。ネコザメはヒレを交互に動かしながら海底をのっそりと歩いていき、獲物を見つけると顎を前に出して獲物を掴み、臼歯状の後歯で噛み砕いていきます。

ネコザメは夜行性で、狩りを行うのは主に夜になります。昼間は岩の隙間や珊瑚の陰などで休んでいることが多いようです。

ネコザメの繁殖

ネコザメの繁殖期は3~9月ごろで、3~4月ごろがピークです。卵は一度に2個うみ、それを何回か繰り返して合計6~12個の卵を産卵するようです。

ネコザメの最もおもしろいところは、この卵です。というのも、ネコザメの卵はドリルのような黒い物体に保護されています。ネコザメはこの物体の中で孵化し、1年程度で出てきます

この黒い物体を見て、もともと知っている方でなければ卵だと思う方は誰もいないと思います。まるで人間がつくった製品のような形をしていて、サメが作ったものとは到底思えません。

さらに、サメはこの中に卵が入った物体をくわえ、岩戸岩の間などに押し込みます。これにより、卵をその場所に固定することができます。

なお、生まれたての赤ちゃんの大きさは18cm程度です。幼魚はおとなに比べると背びれが大きいという特徴があります。全長70cmほどになった頃が成熟の時期です。

謎のドリル物体をつくる理由

では、なぜこのような形で卵を産むのでしょうか。このことについては詳しくはわかっていませんが、この形によって岩の間などに固定しやすくなる、海藻に似せて天敵から襲われるのを防いでいる、などいくつかの説があります。

なお、ほかのサメだと1度に何千、何万もの卵を産む魚も多いですが、ネコザメはあまり多くの卵を生みません。この物体によって保護されているため、たくさん産まなくても確実に子孫を残せる公算が大きいのでしょう。

<ネコザメのたまご>

猫ざめのたまごの画像
出典:https://www.flickr.com/photos/tanaka_juuyoh/3355280233

ネコザメの天敵

より大型の肉食魚やタコなどは、ネコザメの天敵になりえます。先ほども述べた通りネコザメの背びれには鋭い棘がありますが、このとげは特にサイズの小さい幼魚にとって、天敵から身を守るのに役立つと考えられています。

ネコザメの飼育について

ネコザメは飼育することもできます。飼育下では1mを超すような大きさになることはあまりなく、120cm程度の水槽(最低でも90cm)を用意できれば一応飼育するのは可能のようです。ネコザメは普段は水槽の底などでじっとしていることが多く、積極的に泳ぎ回る魚ではないため120cm水槽で飼育が可能なのです。

そのため、鮫を飼育してみたい方にとってこのネコザメはおすすめの種類といえます。

水槽のほかには水温を調節するためのクーラーやヒーター(特に高水温は苦手なのでクーラーは必須です)などが必要になります。水温は23℃程度に保つとよいとされています。また海に棲んでいるので、人工海水をつくる必要があります。

難易度自体はほかの熱帯魚とそこまで違うわけではないようで、特別な飼育技術は必要なく、基本的な世話さえできればネコザメ飼育は十分可能だと思います。

なおネコザメの背びれには鋭い棘がありますが、その部分に毒があるという記述がみられることがあります。これに関しては公式機関等からの注意書きが見られず、現状信ぴょう性に欠ける内容だと思いますが、刺さるとけがをする可能性もないわけではないので、念のため扱いには注意しておくとよいと思います。

ネコザメの値段

ネコザメは意外と安価で購入でき、1万円程度を見込んでおけば購入できると思います。安い場合だと3000円程度で売られていることもあるとか。生体だけで数十万とかするような魚ではなく、上級国民しか飼えないような魚ではありません。とはいっても維持費や飼育に必要な道具にかかる費用を考えれば、それなりにお金はかかると思います。

 

人間との関係

鮫というと人食い等恐ろしいイメージを抱く方もいらっしゃるかもしれませんが、このネコザメは人に害を加えることはありません。

また水族館ではよく飼育されているサメでもありますので、近所の水族館に足を運ぶとみられるかもしれません。確実に見たい場合は、事前に問い合わせていただくとよいと思います。

食用として利用されることはあまりないですが、和歌山県など、一部このネコザメを食用にする地域もあります。食べ方としては刺身などがあげられます。

 

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最後に

最後に内容を簡単にまとめておきます。

  • 最大でも1.2m程度の小型のサメ
  • 甲殻類などを餌としており、固い貝殻もかみ砕くことができる
  • 黒いドリル状の卵を産み落とすことで有名
  • サメの中ではおとなしく、120cm水槽を用意できれば一般家庭での飼育も可能

 

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