金魚の生息地や歴史を紹介!野生にはいない?

観賞魚として広く飼育されている金魚。

クリ子
ふと思ったんですけど、金魚って自然界ではどこかにいるんですか?
博士
なるほど、いい疑問だね。

今回は、金魚の原産地や歴史についてみていこう。

 


金魚は自然界にはいない?

金魚は自然界に存在するのかというと、厳密に言うと存在しません。というのも、金魚は人の手で改良されてつくられた魚で、もともと自然界には存在しないのです。

人間が放した個体が野生化することがあるので、そういった金魚が野生にいる場合はありますが、本来日本も含め、自然界にはいない魚となります。そのため金魚の生息域、あるいは生息地はどこですか?と問われても、具体的にどこだとは示すことは難しいです。

基本的には金魚はもともと野生で生活するのに適している形をしているわけではありません。泳ぎが早くないことや目立つ色をしていることから、天敵に襲われやすいのが、その理由の1つです。

そのため繁殖を重ねるにつれ野生のフナの形に戻っていくことも多く、現在の姿形を維持するために多くの努力がなされています。

海外では金魚が野生化したことも

その一方で、金魚が野生化することはまったくないわけではなく、海外では野生化した金魚が増殖し、問題を起こしている事例もあります。

実際にオーストラリアで野生化した例が、以下の記事で解説されていました。

https://withnews.jp/article/f0161228002qq000000000000000W02310701qq000014481A

金魚も品種や生育環境によってはこのように自然界でも生き延びるだけのポテンシャルがある、と考えることもできます。ちなみに金魚に近い種類であるコイ(鯉)には外来種問題があり、特に北アメリカでは大きな問題となっていて、国際自然保護連合により世界の侵略的外来種ワースト100のうちの1種に選ばれています。

 

どういった魚が改良された?

金魚の画像
クリ子
なるほど、金魚はやっぱり自然界にいるわけではなく、人工的に作られた魚なんですね。

それじゃ、どんな魚から作られたんですか?

博士
金魚というのは、フナという魚の突然変異から生まれたものだから、フナの仲間ということになるね。ちなみにフナというのは鯉の仲間だよ。

最近のDNA解析の結果、このフナの仲間はギベリオブナと呼ばれるフナであることがわかりました。このギベリオブナは東アジアに生息するフナで、日本のフナで言うとギンブナが近い種類で、日本にはもともといなかったのですが、現在は移入されたものが生息しているようです。

金魚はこのギベリオブナの突然変異であるヒブナを改良した種類になります。ヒブナはギベリオブナの中でも突然変異を起こしたもので、金魚のようなオレンジ色をしています。

このヒブナの金魚への改良は主に中国で行われたとされています。なので、金魚は中国原産の魚で、おおもとをたどれば中国の魚へとたどり着くことになります。

ヒブナとは?

名前だけ聞くとフナの小さいバージョンか何かに聞こえますが、ヒブナは黒い色素を持たないという突然変異を起こしたフナのことです。

黒い色素を失ったため、黄色やオレンジ色といった、まさに我々がイメージする金魚に近い色になっています。このようなヒブナをさらに改良していったのが金魚となります。

ちなみに北海道の春菜湖ではこのヒブナが生息していて、国の天然記念物にも指定されています。この春菜湖のヒブナは、100年ほど前に野生に放流された金魚と、もとからいた野生のフナが交雑してできたものとされています。

 

日本の金魚の歴史

金魚の画像その2

金魚が日本にはじめて入ってきたのは室町時代(1336-1573)のことで、中国の明(1368-1644)から入ってきました。もっとも当時は飼育技術が確立されていなかったため、定着には至らず、本格的に養殖が始まったのは江戸時代(1603-1868)になってからでした。

ちなみに中国での金魚の歴史は古く、南北朝時代(439-589)にはすでに飼育が開始されていたようです。宋の時代(960-1279)ごろからは繁殖も本格的に開始されました。昔の中国の皇帝や貴族などにも好んで飼育され、金魚はある種のぜいたく品のようなものになっていたようです。

江戸時代に繁殖も本格的に始まりましたが、江戸時代の初期は今のように庶民にも親しまれていたというよりは、贅沢品に近いものだったようです。江戸時代の大坂の豪商である淀屋辰五郎は、天井にガラス張りの水槽を取り付け金魚を飼育していたと伝わっています。

江戸中期頃から庶民の間でも親しまれるようになり、明治から大正にかけて庶民の生活が豊かになるにつれ、金魚の需要もより増していくことになりました。

太平洋戦争(1941-45)の間には、「金魚を飼育している家には爆弾が落ちない」という風説が広まり、庶民がこぞって金魚を求めていたこともあるようです。

このように金魚は日本人の間で身近な存在へとなっていき、日本原産の品種も多くつくられました。日本人がつくった品種として有名なものは、尾びれが長く頭部に肉瘤をもつ「東錦」、背びれがないことが特徴といえる「らんちゅう」などがあります。

高知県産の「土佐錦」、島根県産の「南京」、愛知県産の「地金」、宮城県の「鉄魚」は、指定天然記念物にもなっています。また日本や中国だけでなく、アメリカやヨーロッパ、東南アジアなど様々な地域で金魚は飼育され、それぞれの地域でも独自の品種が生まれています。

※金魚の飼育法に関しては、以下のページでまとめています。

金魚について解説!飼育法、餌、寿命は?どんな色がある?

 

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最後に

最後に内容を簡単にまとめておきます。

  • 金魚は人間の手で改良されたもので、野生にはいない(ただし、海外では野生化した事例も存在する)
  • フナ属の魚の突然変異から生まれたヒブナを人の手で改良したもの
  • 金魚は江戸時代のころから日本でも広まり、様々な独自の品種も生まれた

 

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