キウイといえば、果物のキウイを思い浮かべるかと思いますが、実は同じ名前をした鳥もいるのです。キウイ(Kiwi)は、ニュージーランドに生息する飛べない鳥で、ニュージーランドの国鳥とされ、ニュージーランドの人々に愛されています。キウイ目キウイ属キウイ科で、キウイの一種だけで独立しているといわれていますが、ダチョウの仲間に入れる説もあります。
キウイの歴史は大変古く、種の近いダチョウの化石の発見により、2500万年前から200万年前にかけて出現したのではないかと言われています。今回は、そういったキウイについてみていきたいと思います。
キウイとキウイフルーツ
ちなみに「キウイフルーツ」の「キウイ」はこの鳥のことです。キウイフルーツがニュージーランドからアメリカに輸出されるようになった際、ニュージーランドのシンボルとして、キウイフルーツという名称が使われるようになったのです。
外見や飛べない理由
大きさはニワトリ程度で体長50cm程度。鳥なのに翼が人間の小指ほどしかありません。そのため飛ぶことはできませんが、かわりに強靭な脚力を持っていて、ダチョウ並みのスピードで走ることができます。
キウイにまつわる伝説
キウイの羽が無いことについてはマオリ族の伝説があり、虫に食べられて弱っている木々を救うために、空の王が鳥たちを集め、地上に降りて虫を食べて森林を守ってくれる鳥を募ったところ、元来美しい羽根を持っていたキウイがその役目を買って出て森林を守った、そこで空の王は羽根の変わりに強靭な足を与えたという話があります。
キウイの生態
キウイは夜行性で、日中は木の穴で過ごします。目はよくありませんが、そのかわり他の鳥に比べて鼻の穴がくちばしの先端についていて、嗅覚がすぐれています。
夕方になるとこのくちばしを地面に差し込み、主食となるミミズや幼虫などを探し当てるのです。その他に果実も食します。キウイは鳥類ですので卵で繁殖しますが、卵は体の割に大きいため、メスとオスがつがいで卵を一緒に暖めるという習性があります。そこで、子育てに協力的な男性のことを「キウイ・ハズバンド」ということもあります。
かつては、ニュージーランド諸島の独特の生態系のもとで1000万羽ほどニュージーランドに生息していましたが、人間をあまり警戒せず、しかも人間がキウイを食用としていたこと、ブタや猫など人間が持ち込んだ哺乳類にヒナを補食されやすかったことなどから、今では3万羽ほどに激減しています。
キウイが見られる場所はある?絶滅危機のため・・
キウイを見るのに最も良いのは、もちろんニュージーランドです。過去には、日本でも唯一大阪の天王寺動物園でみることができました。天王寺動物園は、1970年に大阪で万国博覧会が開催されたことの記念に、ニュージーランド政府から3度にわたりキウイを送られていたのです。
天王寺動物園に送られていたキウイは、キタタテジマ種(North Island Brown Kiwi)で、この種は2008年に生息数が25,000羽と推定され、絶滅危惧種(Endangered)にリストアップされています。天王寺動物園では、2015年開園100周年目の飼育動物選定計画で、キウイは補充しないことを決定しました。 やはり、キウイが絶滅危機に瀕し、入手不可能であることがその理由のようです。
ニュージーランドでは、国鳥が絶滅に瀕しているこの状況に危機感を感じ、野生下の卵やヒナを捕獲して動物園などの飼育下で孵化させ、補食する猫などの哺乳類に対抗できる程度の大きさになってから放鳥する活動(BNZ Operation Nest Egg)を1994年から開始し、この活動の中で卵の人工孵化の技術は確立されてきています。
最後に
いかがでしたか。なかなかお目にかかれない鳥ですが、キウイフルーツの名前の根源にもなっているのですね。絶滅に瀕している現状は残念ですが、何とか危機から脱することができればよいですね。