マンディブラリスフタマタクワガタの飼育方法|大きさ・産卵・幼虫飼育を解説

カブトムシ・クワガタ

体の半分近くを占めるほど長い大アゴを持つマンディブラリスフタマタクワガタ。大型のオスでは110mmを超え、ギラファノコギリクワガタなどと並ぶ世界最大級のクワガタとして知られています。

細長く伸びた大アゴの内側には多数の歯が並び、中央付近にはひときわ大きな内歯があります。大型個体になるほど大アゴも長く伸び、外国産クワガタの中でも特に迫力のある姿になります。

成虫を飼育するだけなら、それほど難しい種類ではありません。一方、繁殖では産卵木の状態によって結果に差が出やすく、100mmを超える大型のオスを育てるには幼虫時代の管理も重要になります。

ここでは、マンディブラリスフタマタクワガタの大きさや生息地から、成虫の飼育、産卵、幼虫飼育、寿命まで紹介します。


マンディブラリスフタマタクワガタとは?

マンディブラリスフタマタクワガタ(Hexarthrius mandibularis)は、クワガタムシ科フタマタクワガタ属に分類される大型のクワガタです。

主にボルネオ島とスマトラ島に分布しています。ボルネオ島はインドネシア、マレーシア、ブルネイにまたがる大きな島で、本種もインドネシア側のカリマンタンやマレーシア側のサバなどで知られています。

日本ではスマトラ島やボルネオ島を産地とする個体が飼育されており、産地による大アゴや体色の違いを楽しむ愛好家もいます。

110mmを超える世界最大級のクワガタ

マンディブラリスフタマタクワガタのオスは、大型個体で110mmを超え、最大では115mm前後に達します。

最大の特徴は、前方へまっすぐ伸びた非常に長い大アゴです。内側には細かな歯が並び、中央付近には大きな内歯があります。先端もわずかに二股へ分かれるような形をしています。

「オオキバフタマタクワガタ」という別名もあり、その名前の通り大アゴの存在感が非常に強いクワガタです。

赤みのある個体もいる

体色は黒から黒褐色が基本ですが、赤褐色が強く出る個体も見られます。

飼育界では赤みの強い個体が「赤マンディ」などと呼ばれることもあり、黒い個体とは少し違った印象があります。

同じマンディブラリスフタマタクワガタでも、産地や系統、個体によって色合いには幅があります。

名前の由来

種小名の「mandibularis」は、大アゴを意味する「mandible」と関係する名前です。

マンディブラリスフタマタクワガタの最大の特徴が非常に長い大アゴであることを考えると、姿をそのまま表した名前といえるでしょう。

マンディブラリスフタマタクワガタの成虫の飼い方

成虫の基本的な飼育方法は、ほかの外国産クワガタと大きく変わりません。

飼育ケースの底へ昆虫マットを数cm敷き、昆虫ゼリーと転倒防止用の枝や樹皮を入れます。大型のオスは大アゴまで含めるとかなり長くなるため、体の向きを変えられる程度の余裕があるケースを選んだ方が扱いやすくなります。

オス同士を同じケースへ入れると、大アゴを使って激しく争うことがあります。相手を挟んだり持ち上げたりするため、オスは基本的に1匹ずつ飼育します。

餌は昆虫ゼリー

成虫にはクワガタ用の昆虫ゼリーを与えます。

大型のオスは大アゴが非常に長く、普通のゼリーカップでは食べにくそうにすることがあります。その場合はワイドタイプのゼリーを使ったり、ゼリーを半分に切ったりすると食べやすくなります。

繁殖させるメスには高タンパクタイプの昆虫ゼリーを利用しても構いません。産卵期のメスは餌をよく食べるため、種類以上に餌切れを起こさないことが大切です。

温度は20℃台前半を中心に管理する

マンディブラリスフタマタクワガタは熱帯に生息していますが、飼育環境を高温にする必要はありません。

20〜25℃程度を中心に管理すると飼いやすく、産卵や幼虫飼育もこの温度帯で行えます。

特に注意したいのは夏の高温です。30℃近い状態が長時間続く環境は避け、必要に応じてエアコンなどを利用します。

反対に冬は室温が低くなるため、20℃前後を維持できない環境では加温が必要です。一年を通して急激な温度変化を避けると管理しやすくなります。

羽化後は成熟するまで待つ

飼育下で羽化した新成虫を繁殖させる場合は、十分に成熟するまで待ちます。

羽化した直後はしばらく休眠し、その後になって昆虫ゼリーを食べ始めます。餌を食べ始めてもすぐに繁殖へ使うのではなく、しっかり後食を続け、活動が安定してからペアリングするとよいでしょう。

マンディブラリスは羽化から成熟まで比較的時間をかけることがあり、羽化後数か月たってから繁殖へ使われることも珍しくありません。

マンディブラリスフタマタクワガタの繁殖

飼育下で羽化した個体を繁殖させる場合は、成熟したオスとメスを交尾させます。

野外採集されたメスは、すでに現地で交尾している場合があります。その場合は改めてオスと交尾させなくても産卵することがあります。

ペアリングではメスへの攻撃に注意する

マンディブラリスのオスは非常に長く力の強い大アゴを持っています。

個体によってはメスを挟んで傷つけることがあるため、オスとメスを長期間同じケースへ入れたままにするより、様子を確認しながらペアリングする方が安全です。

事故を防ぐため、オスの大アゴが大きく開かないよう固定してからペアリングする方法も飼育者の間ではよく使われています。

交尾を確認できたらメスだけを産卵セットへ移し、オスとは別々に管理します。

産卵には産卵木を使う

マンディブラリスフタマタクワガタは、基本的に朽ち木へ産卵するクワガタです。

産卵セットにはナラやクヌギなどの広葉樹の産卵木を使います。メスは材の表面をかじり、その内部へ卵を産み付けます。

材は硬すぎるものより、メスが大アゴで削れる程度のものが使いやすくなります。極端に柔らかく崩れる材より、適度に朽ちた材を選びます。

使用前には材へ水分を含ませ、余分な水を切ってからケースへ入れます。

材の状態によって産卵数が変わる

マンディブラリスは、産卵木との相性によって結果が変わりやすい種類です。

同じように見える材でも、メスがよく削るものとほとんど反応しないものがあります。産卵セットへ入れても材にかじった跡がほとんど見られない場合は、別の材へ交換してみるのもよいでしょう。

普通の産卵木のほか、カワラ材やバクテリア材などが利用されることもあります。

バクテリア材を使う方法

フタマタクワガタ類の産卵では、「バクテリア材」と呼ばれる材が利用されることがあります。

広葉樹の産卵木を、クワガタ幼虫を飼育した後のマットや食痕などと一緒に置き、材の状態を変化させたものです。

マンディブラリスでもバクテリア材への産卵例は多く、通常の産卵木への反応が悪いメスに試す方法のひとつです。

ただし、バクテリア材でなければ産卵しないわけではありません。通常のナラ材やクヌギ材、カワラ材などへ産卵する個体もいます。

材を一種類に決めつけず、メスの反応を見ながら選ぶとよいでしょう。

産卵セットの作り方

飼育ケースの底へ昆虫マットを敷き、その上へ加水した産卵木を置きます。材が動かないよう、マットへ一部を埋めても構いません。

マンディブラリスでは材が主な産卵場所になるため、マットを強く固めて産卵床を作る必要はありません。マットは材を安定させ、ケース内の湿度を保つためにも役立ちます。

交尾済みのメスと昆虫ゼリーを入れ、20℃台前半を中心に管理します。材の表面に削った跡が増えたり、木くずが出てきたりすれば、産卵している可能性があります。

割り出しは幼虫になってからでもよい

メスが材を削っているのを確認しても、すぐに産卵木を割る必要はありません。

卵は小さく柔らかいため、材を割る際につぶしてしまうことがあります。メスを取り出した後もしばらく材を管理し、幼虫へ孵化してから割り出すと扱いやすくなります。

割り出す際は産卵木を少しずつ崩し、食痕や幼虫の位置を確認しながら進めます。

孵化直後の幼虫は非常に小さいため、工具を深く差し込んで傷つけないよう注意します。

幼虫は菌糸ビンでも発酵マットでも飼育できる

割り出した幼虫は、1匹ずつ飼育容器へ分けます。

マンディブラリスの幼虫は、発酵マットでも菌糸ビンでも飼育できます。羽化まで育てるだけならどちらでも可能ですが、大型のオスを狙う場合は菌糸ビンを利用する方法もよく使われています。

幼虫が順調に食べているマットや菌糸がある場合は、交換のたびに餌の種類を大きく変えず、同じ系統のものを続けて使用すると管理しやすくなります。

大型のオスには余裕のある容器を使う

100mmを超えるようなオスになる幼虫は、3令になるとかなり大きくなります。

成長後半では餌の消費量も増えるため、十分な量の菌糸やマットを入れられる容器を使います。大型のオスでは1.5〜2L程度の容器が使われることもあります。

最終的には長い大アゴを持つ成虫になるため、蛹室を作るスペースにも余裕が必要です。

容器を大きくするだけで大型化するわけではありませんが、餌不足や蛹化スペースの不足を防ぐ意味でも、オスの終齢幼虫には余裕を持たせます。

幼虫期間は8〜14か月ほど

マンディブラリスフタマタクワガタの幼虫期間は、8〜14か月ほどがひとつの目安です。

メスは比較的早く羽化し、オスは大型になるほど幼虫期間が長くなる傾向があります。温度や餌、個体差によっても羽化までの期間は変わります。

大型のオスを狙う場合は、必要以上に高温で成長を早めず、20℃台前半を中心に十分な餌を与えながら育てます。

蛹室を作ったらなるべく動かさない

成熟した幼虫は餌を食べる量が減り、やがて容器の中に蛹室を作ります。

大型のオスは非常に長い大アゴを伸ばして羽化するため、十分な長さの蛹室が必要です。

蛹室を作り始めた後は、マットや菌糸を交換したり、容器を何度も動かしたりするのは避けます。

正常な蛹室ができていれば、そのまま羽化まで待ちます。蛹室が壊れてしまった場合などには人工蛹室を利用する方法もあります。

成虫の寿命

マンディブラリスフタマタクワガタの成虫の寿命は、3〜8か月ほどが目安です。

温度や個体の状態によって差があり、それ以上生きる場合もあります。野外採集個体では羽化した時期が分からないため、購入後にどのくらい生きるかを予想するのは難しくなります。

長く飼育したい場合は、羽化時期が分かっている飼育繁殖個体を選ぶ方法もあります。

飼育中は高温を避け、昆虫ゼリーを切らさず、ケースの乾燥や転倒にも注意します。

マンディブラリスフタマタクワガタの値段

マンディブラリスフタマタクワガタは、外国産大型クワガタとして比較的よく流通しています。

価格は産地やサイズによって大きく変わります。小型から中型の個体は比較的入手しやすい一方、100mmを超える大型個体になると価格も上がります。

さらに105mm、110mmと大型になるほど数が少なくなり、特定の産地や体色を持つ個体も高値になることがあります。

初めて繁殖へ挑戦する場合は、最大級の個体にこだわらず、状態のよいペアから始めるのもよいでしょう。

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まとめ

マンディブラリスフタマタクワガタは、長く発達した大アゴを持つ世界最大級のクワガタです。

  • 主にボルネオ島とスマトラ島に分布する
  • 大型のオスでは110mmを超え、最大115mm前後になる
  • 大アゴの中央付近に大きな内歯がある
  • 黒褐色だけでなく赤みの強い個体もいる
  • 成虫には昆虫ゼリーを与える
  • 20〜25℃程度を中心に管理する
  • オス同士は争うため単独で飼育する
  • ペアリングではオスがメスを傷つけないよう注意する
  • 産卵には広葉樹の産卵木を使う
  • バクテリア材やカワラ材を利用する方法もある
  • 幼虫は菌糸ビンでも発酵マットでも飼育できる
  • 幼虫期間は8〜14か月ほど
  • 大型のオスを狙う場合は十分な餌と飼育スペースを確保する
  • 成虫の寿命は3〜8か月ほどが目安

マンディブラリスフタマタクワガタは、成虫を飼うだけなら比較的扱いやすい一方、繁殖では産卵木の選び方に工夫が必要になります。さらに100mmを超える大型のオスを狙えば、幼虫の餌や温度、飼育容器まで考える楽しさがあり、じっくりブリードを楽しめるクワガタです。

主要参照元

  • Journal of Asia-Pacific Entomology(2026)「The mitochondrial genomes of Hexarthrius mandibularis」
  • Universiti Malaysia Sarawak「Lucanidae of Sarawak」に関する資料
  • Ben’s Beetle Breeding Pages「The Breeding/Rearing of Hexarthrius mandibularis」
  • 国内外のマンディブラリスフタマタクワガタ飼育・繁殖記録

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