ナイルワニは、クロコダイル属に属するワニで、巨大なワニの一種です。巨大なワニといえば怖いイメージがありますが、実際に気性が荒く人間を襲うこともあるようです。古代エジプトにおいて信仰の対象になるなど、人間との関係もあるワニです。今回は、そういうナイルワニについて調べていこうと思います。
ナイルワニの大きさ
ナイルワニは、アフリカのワニの中では最大で、世界においてもイリエワニについで2番目に大きな爬虫類となります。平均的なサイズは、せいぜい4.5~5.5mぐらいだといわれていましたが、実際のところこれはさまざまな研究結果からして盛りすぎだといえます。色々な研究者がそれぞれの地域でナイルワニの大きさや重さの平均を測定しようとしましたが、研究者によって導き出した結果には差があります。
例えばある研究者によると、ウガンダとザンビアにおけるナイルワニの平均の大きさは3.15mでした。また別の研究者によると、ケニアのトゥルカナ湖でのナイルワニの平均の大きさは3.65mでした。また、南アフリカ共和国のクルーガー国立公園においてもトゥルカナ湖での結果とほとんど同じようになりました。なお、ギネスブックにおいては平均サイズは3.4m~3.7mと記載されています。なお、これまでで確認された最も大きいものは、タンザニアで撃たれたものになりますが6.45mあったようです。
オスの大きさはだいたい3.3~5mぐらいで、メスに比べると平均して30~50cmほど大きくなります。メスの大きさはおよそ2.2~3.8mぐらいになります。
ナイルワニの生息域
サハラ砂漠が位置するアフリカの北部や南部の一部、マダガスカル東部などを除くアフリカの広範囲に生息しています。
ナイルワニは人食い?
ナイルワニは1年間に何百もの、下手すると何千もの人間を殺しているといわれており、これはほかのクロコダイルと比べても多くなります。というのも、ナイルワニは他のクロコダイルと比べて特別に人への攻撃性が強いというわけではないのですが、人のいる場所と生息域が近いため、人とナイルワニが出会うことが多くなります。
なお、ある研究においては、人間がワニ革の商売のためにワニを殺しはじめる前から、ナイルワニはだいたい1000人の人を殺していた(人間が逃れれたものも同数あった)とされています。一方で、より最近の研究においてはナイルワニを人が襲ったのはだいたい245~745回ほどあり、そのうちの63%が致命的なものだったというものもあります。(なお、イリエワニの場合は人を襲ったのは30回ほどで、半分が致命的だったようです。)
ナイルワニのかむ力
ブレイディ・バールによると、大人のナイルワニのかむ力はおよそ22kNとなりました。ナイルワニは口を開けることを担う筋肉が弱くなります(たとえば3.9mのクロカイマンというワニは4.8mのナイルワニより頭蓋骨が大きかったようです)が、体の大きさが大きいため、結果的に強い噛む力を確保できます。
ナイルワニの天敵
ナイルワニは頂点捕食者の1種で、基本的に天敵として挙げられるのは百獣の王・ライオンぐらいになるようです。勿論自然界に絶対はないため、これ以外の動物(例えばカバなど)に負けることもないとは言えませんが、一般的には天敵は少ないといえるでしょう。その一方で人間による生息地の破壊や乱獲により生息数は減少していて、保護対象にもなっています。
最後に
ナイルワニは人食い、というのもあながち間違いではないようです。一方で人間によって個体数が減少しているという皮肉な一面もあるようですね。