モロクトカゲの生態を解説!食べ物は?動物園で見れる?

両生類・爬虫類

モロクトカゲは、トカゲ亜目イグアナ下目アガマ科に分類されるトカゲの仲間で、体中にトゲを持つ変わった形が特徴的なトカゲです。ここでは、このモロクトカゲについて解説していきます。


モロクトカゲとは

分類 有鱗目トカゲ亜目イグアナ下目アガマ科
学名 Moloch horridus
大きさ 15cmほど
生息域 オーストラリア西部~中部
別名 トゲトカゲ

体長は15cmほど、最大で20cmほどまで達する比較的小型のトカゲです。最大の特徴は、全身を覆う鋭いトゲです。この棘は後で述べるように天敵から身を守るのにも役立っています。一般的にメスのほうがオスより大きくなります。

日本語の別名である「トゲトカゲ」や英名「Thorny lizard」は、この棘に由来しています。ちなみにモロクトカゲの「モロク」は、古代中東で崇拝された神モロク(モレク)からきています。

全身トゲトゲで怖そうな外見とは裏腹に、基本的にはおとなしい性格のようです。

モロクトカゲの体色は生息域である砂漠などにおいてカモフラージュするのに適した色になっています。また、気温が低いときには色が濃くなり、高いときには色が薄くなる傾向にあります。

また、首のあたりには天敵から襲われそうになった際に用いる、まるで頭に見える構造があります。なおこの「偽の頭」は軟組織でできています。

モロクトカゲの生息域

モロクトカゲはオーストラリア固有のトカゲで、オーストラリアの西部~中部にかけて広く生息しています。その中でも砂漠や乾燥した低木林などの場所に棲んでいます。

モロクトカゲの生態

護身術

モロクトカゲは堅く鋭い棘を持っていますが、この棘は天敵から身を守るのに役立っています。というのも、棘があるため肉食の動物たちにとってモロクトカゲを飲み込むのは難しく、そのため天敵はモロクトカゲを襲うのをためらうようになります。

もしほかの動物から襲われそうになった時には、頭をかがめて両前足の間の部分まで下げる行動をとります。そして首付近にある前述した「偽の頭」を天敵に見せます。

モロクトカゲの天敵

モロクトカゲの天敵にはオーストラリアオオトカゲや鳥類などがあげられます。

モロクトカゲの食べ物

モロクトカゲは主としてを食べて暮らしています。1日に何千もの数の蟻を食べることもしばしばです。

モロクトカゲの水分摂取法

モロクトカゲは乾燥した場所にいるため、水分を摂取するのは大変です。

もちろん数少ない恵みである雨が降ると、同じ溝を通して体中についた水を口へと集めます。この水を集める機構は、植物が水分を吸い上げる現象に代表される、細い管の間を水分が上昇していく現象である毛細管現象と呼ばれる現象に由来しています。

またモロクトカゲは夜に皮膚の上でしずくを凝集させることによって水分を得ているとする説があります。皮膚の上で凝集されたしずくは、棘と棘の間にある吸湿性が高い溝のような箇所を経由して口へと集められます。

このような給水機構の存在が、乾燥した厳しい環境でも効率よく水を摂取することを可能にしています。このモロクトカゲの給水機構をヒントに、乾燥地域で水を集める装置や技術等を作るための研究もおこなわれているようです。

モロクトカゲの繁殖

メスは9~12月ごろ(日本とは季節が逆なので春から夏)に3~10個ほどの卵を産みます。卵は地下にある巣穴に産まれます。卵は3~4か月ほどで孵化しますが、鳥などの天敵によって食べられてしまうこともあります。

モロクトカゲの寿命

モロクトカゲの寿命は15~20年程度です。

動物園で見れる?

現状、モロクトカゲを見れる動物園は日本にはありません。ジャパンレブタイルズショーと呼ばれるショーで限定的に展示されたことはありますが、基本的に日本で見ることはできないようです。

飼育は可能?値段は?

また、爬虫類ファンの方でモロクトカゲを飼育してみたいという方もいるかもしれませんが、モロクトカゲが販売されていることは基本的にありません。

というのもオーストラリアが固有の動物の輸出を制限しているため輸入ができないのです。この点を踏まえれば、今後飼育できるようになる可能性も低いと思われます。

加えて言えば、餌が蟻である点などから、飼育難易度も高そうです。そのため、残念ながら現状モロクトカゲを飼育するのは非現実的です。

スポンサーリンク

最後に

最後に内容を簡単にまとめておきます。

  • オーストラリア固有のトカゲで、全身がトゲで覆われた独特の姿が印象的
  • トゲは天敵から身を守るのに役立っている
  • モロクトカゲは基本的にアリを食べて生活している
  • 全身の皮膚にある細い溝を用いて水分を口元へ集める給水機構を備えていて、乾燥地域でも水分を無駄なく摂取できる
  • 動物園では飼育されておらず、飼育用としての流通もないため、日本で見れる機会はなかなかない

 

スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました