ニホンカナヘビの飼育方法|餌や寿命、産卵のポイント

両生類・爬虫類

庭や公園、草むらなどで見かけることの多いニホンカナヘビ。名前には「ヘビ」と付いていますが、ヘビではなくトカゲの仲間です。

細長い体と長い尾が特徴で、晴れた日には石や木の上で日光浴をしたり、草むらを素早く走り回ったりする姿が見られます。

身近な生き物なので簡単に飼えそうに見えますが、長期間飼育するには餌だけでなく、紫外線、温度、水分、隠れ場所などを整える必要があります。

ここでは、ニホンカナヘビの特徴や餌、飼育環境、寿命、産卵、冬越しまで紹介します。


ニホンカナヘビとは?

ニホンカナヘビは、カナヘビ科カナヘビ属に分類される日本固有のトカゲです。

北海道、本州、四国、九州とその周辺の島々に分布し、草地や林の周辺、河川敷、公園、庭などさまざまな場所で暮らしています。

全長はおよそ16〜25cmですが、その多くを長い尾が占めています。ニホントカゲと比べると体が細く、体表には強い光沢がなく、ややざらついた印象があります。

基本的には昼行性で、日光浴によって体温を上げながら活動します。危険を感じると草むらなどへ素早く逃げ、捕まえられたときには尾を自切することもあります。

日本には6種類のカナヘビ科がいる

日本で最も身近なのはニホンカナヘビですが、日本には現在6種類のカナヘビ科の爬虫類が知られています。

  • ニホンカナヘビ
  • アオカナヘビ
  • アムールカナヘビ
  • サキシマカナヘビ
  • ミヤコカナヘビ
  • コモチカナヘビ

ニホンカナヘビは北海道から九州まで広く分布していますが、ほかの種類には対馬や南西諸島など、限られた地域に生息するものもいます。

以下では、特に断りがない限り「カナヘビ」はニホンカナヘビを指します。

カナヘビの餌

ニホンカナヘビは主に小さな動物を食べます。

野外では昆虫やクモ、ワラジムシなどを捕らえており、草むらや地面を動き回りながら獲物を探します。

飼育では、

  • コオロギ
  • 小型のバッタ
  • ミルワーム
  • ハニーワーム
  • ショウジョウバエ
  • 昆虫食爬虫類用の人工飼料

などを利用できます。

生き餌ではコオロギが入手しやすく、主食として使いやすいでしょう。ミルワームなども食べますが、ひとつの餌だけを与え続けるより、いくつかの餌を組み合わせる方が管理しやすくなります。

餌の大きさ

餌は、カナヘビが無理なく飲み込める大きさを選びます。

幼体には小さなコオロギやショウジョウバエなどを与え、成体になれば少し大きなコオロギも食べられるようになります。

大きすぎる餌は食べにくく、ケース内に残ったコオロギがカナヘビをかじることもあります。食べ残した生き餌は長時間放置せず、回収します。

餌を与える頻度

成体では週2〜3回程度を目安にし、1回に与える量は体格や食欲を見ながら調節します。

成長途中の幼体は成体より多くの栄養を必要とするため、少量の餌を毎日から1日おき程度に与えます。

気温や活動量によって食欲は変化します。特に秋から冬にかけて活動量が落ちると食べる量も減るため、一年中同じ量を与える必要はありません。

カルシウムを補給する

室内で飼育する場合は、餌へ爬虫類用のカルシウム剤を薄くまぶして与えます。

昆虫だけを長期間与えていると、カルシウムなどの栄養が不足することがあります。必要に応じて爬虫類用のビタミン剤も利用できますが、使用量は製品の説明に従います。

また、餌として使うコオロギにも専用フードや野菜などを食べさせ、状態のよいものを与えるとよいでしょう。

カナヘビの飼育環境

ニホンカナヘビを室内で長期間飼育する場合は、次のようなものを用意します。

  • 飼育ケース
  • 床材
  • 隠れ家
  • 枝や石などの足場
  • UVBライト
  • バスキングライト
  • 温度計
  • 浅い水入れ
  • 霧吹き
  • カルシウム剤

短期間の観察であれば昆虫用のプラケースでも飼育できますが、長期間飼育する場合は、照明や温度差を作りやすい爬虫類用ケージの方が管理しやすくなります。

ケージはある程度の広さを確保する

カナヘビは小さなトカゲですが、日中はよく動き回ります。

1匹であれば幅45cm前後以上のケージがあると、暖かい場所と涼しい場所を分けやすく、枝や隠れ家なども配置できます。余裕がある場合は60cm程度のケージを使うと、さらに環境を作りやすくなります。

カナヘビは壁や枝を登り、わずかな隙間から脱走することもあります。通気性を確保しながら、しっかり閉まる蓋を使用します。

床材と隠れ場所を用意する

床材には爬虫類用の土系床材やバークチップ、赤玉土などを利用できます。

ケースの中には樹皮、木片、石、枝などを配置し、カナヘビが身を隠せる場所を作ります。枝や石は日光浴の足場としても利用できます。

重い石や流木を置く場合は、倒れたり崩れたりしてカナヘビを挟まないように固定します。

ケース全体を常に湿らせる必要はありません。乾いた場所と、少し湿り気のある場所の両方を作り、カナヘビが自分で過ごす場所を選べるようにします。

UVBライトを用意する

ニホンカナヘビは野外で日光を浴びて生活する昼行性の爬虫類です。

室内で長期間飼育する場合は、UVBを照射する紫外線ライトを用意します。紫外線を利用して作られるビタミンD3は、カルシウムを体内で利用するために重要です。

UVBライトは製品によって照射量や適切な距離が異なります。ケージとの距離や金網の有無なども影響するため、製品の説明に従って設置します。

また、UVBライトは使用しているうちに紫外線量が低下するものがあるため、メーカーが示す交換時期も確認します。

バスキングできる場所を作る

UVBライトとは別に、体を温めるためのバスキングライトも用意します。

ケージの一部だけを暖め、日光浴できる場所を作ります。バスキングスポットでは30℃台前半程度を目安にし、反対側には20℃台の涼しい場所を残します。

大切なのは、ケージ全体を同じ温度にしないことです。

カナヘビは暖かい場所と涼しい場所を移動し、自分で体温を調節します。そのため、温度計を設置し、バスキングスポットと涼しい側の両方を確認します。

特に真夏はケージ内の高温に注意します。直射日光の当たる窓辺などへケースを置くと、短時間で危険な温度まで上昇することがあります。

水は浅い容器と霧吹きで与える

ケースには、カナヘビが溺れない程度の浅い水入れを用意し、水はこまめに交換します。

また、野外では草や葉についた水滴をなめることもあるため、ケース内の植物や壁面の一部へ軽く霧吹きをすると、水滴から飲むことがあります。

ただし、ケース全体を常にびしょびしょにする必要はありません。床材が乾く場所も残し、通気性を確保します。

多頭飼育について

複数のカナヘビを同じケースで飼うことはできますが、長期間の飼育では単独管理の方が状態を把握しやすくなります。

複数で飼うと、餌をよく食べる個体と食べられない個体が出たり、追い回されたりすることがあります。体格の違う個体や幼体を一緒に飼育する場合は特に注意が必要です。

繁殖を目的とする場合でも、常に同居させる必要はありません。相性や体調を確認しながら管理します。

カナヘビの繁殖と産卵

ニホンカナヘビは飼育下でも繁殖できます。

野外では春から夏にかけて繁殖し、成熟したメスは一度の繁殖期に複数回産卵することがあります。

交尾の際にはオスがメスの体を口でくわえるため、交尾後に噛み跡が残ることもあります。

一度に2〜7個ほどの卵を産む

ニホンカナヘビのメスは、一度に数個の白い卵を産みます。

卵数には個体差がありますが、1回に2〜7個ほどが目安です。メスの年齢や体格によって卵数にも違いがあります。

産卵させる場合は、ケースの一部に湿り気のある土を十分な厚さで入れ、上に樹皮などを置いて落ち着ける場所を作ります。

ケース全体を湿らせるのではなく、産卵できる場所に適度な湿度を持たせます。

卵を見つけたら

産卵された卵は親と同じケースで孵化することもありますが、確実に管理したい場合は別の容器へ移します。

卵を移動するときは乱暴に扱わず、産み付けられていた向きを大きく変えないようにします。適度な湿り気を保った床材の上で管理し、乾燥や水浸しを避けます。

孵化までの日数は温度によって変化します。暖かい環境では1か月ほどで孵化することもありますが、飼育環境によってはそれ以上かかります。

生まれたばかりの幼体の飼育

孵化したカナヘビは成体をそのまま小さくしたような姿をしています。

体が非常に小さいため、親とは別のケースで育てた方が餌の量や健康状態を確認しやすくなります。

餌には生まれたばかりのコオロギやショウジョウバエなど、小さな昆虫を与えます。幼体も昼行性なので、成体と同じようにUVBライトとバスキングできる場所を用意します。

成長期は餌をよく食べるため、成体よりこまめに給餌します。

カナヘビの冬越し

ニホンカナヘビは、野外では冬になると活動をやめ、地中や落ち葉の下、石や倒木の隙間などで冬眠します。

野生のカナヘビにとって冬眠は自然な行動ですが、飼育下で安全に冬眠させるには、冬眠前の健康状態や気温、水分、凍結などを管理する必要があります。

飼育を始めたばかりの場合は、無理に冬眠させず、室内で活動できる環境を保ちながら冬を越させる方法もあります。

冬眠させずに冬を越す場合

冬も活動させる場合は、UVBライトとバスキングライトを使用し、日中に体温を上げられる環境を維持します。

室温が低すぎる状態で餌だけを大量に与えるのは避け、カナヘビの活動量や食欲を見ながら量を調節します。

日照時間や室温が下がれば、夏より活動量が落ちることもあります。食べ残した餌をケースへ残さず、水は一年を通して利用できるようにしておきます。

カナヘビの寿命

ニホンカナヘビの寿命は7年前後です。

もちろん個体差はありますが、小さな体のわりに長生きするトカゲで、飼育環境が整っていれば数年間にわたって飼育できます。

長く飼うためには、適切な餌だけでなく、UVBライトやバスキングできる場所、水分補給などを続けていくことが大切です。

カナヘビを飼い始める場合は、数年間飼育することを考えて環境を整えておきましょう。

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まとめ

ニホンカナヘビは、日本各地の草地や庭、公園などでも見られる身近なトカゲです。

  • 日本固有種で、北海道から九州まで広く分布する
  • 全長は約16〜25cmで、長い尾を持つ
  • 昆虫やクモ、ワラジムシなどを食べる
  • 成体には週2〜3回ほどを目安に餌を与える
  • 幼体は成体よりこまめに餌を与える
  • 餌にはカルシウム剤も利用する
  • 室内での長期飼育ではUVBライトを用意する
  • バスキングできる暖かい場所と涼しい場所を作る
  • 春から夏に繁殖し、一度に2〜7個ほどの卵を産む
  • 卵は暖かい環境では1か月ほどで孵化することもある
  • 野生では冬眠して冬を越す
  • 飼育下では冬眠させずに冬を越すこともできる
  • 寿命は7年前後

身近な生き物ではありますが、長く飼育するには、ほかの昼行性爬虫類と同じように紫外線や温度、餌、水分の管理が必要です。環境を整えれば、日光浴や狩り、脱皮、繁殖など、野外ではなかなかじっくり見られない行動も観察できます。

主要参照元

  • 日本爬虫両棲類学会「日本産爬虫両生類標準和名リスト」
  • 札幌市円山動物園「ニホンカナヘビ」
  • 竹中践(1981)「水戸地域のカナヘビの成熟及び生殖特性」
  • Okuyama et al.(2021)“Post-Ovipositional Developmental Stages of the Japanese Grass Lizard, Takydromus tachydromoides”
  • キョーリン「ニホントカゲ・ニホンカナヘビの飼育方法」
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