アマガエルの飼い方|餌・寿命・冬越し・毒について解説

両生類・爬虫類

田んぼや水路の周辺で「クワッ、クワッ」と鳴くアマガエル。鮮やかな緑色の姿で知られていますが、灰色や茶色に近い体色になることもある、身近なカエルです。

小型なので大がかりな設備は必要ありませんが、長く飼育するには水分や温度、生き餌、登るための枝などを用意する必要があります。また、両生類は皮膚がデリケートなので、清潔な環境を保つことも大切です。

ここでは、アマガエルの飼育環境や餌、水の与え方、冬越し、寿命、毒などについて紹介します。


日本で見られるアマガエル

日本で身近に見られるアマガエルは、アマガエル科アマガエル属に分類される小型のカエルです。

以前は日本本土に広く分布するものをニホンアマガエルとしていましたが、2025年に分類が見直され、東日本側の個体群がヒガシニホンアマガエルとして新種記載されました。

現在、日本のアマガエル属にはニホンアマガエルとヒガシニホンアマガエルの2種が知られています。両者は見た目が非常によく似ており、一般的な飼育方法にも大きな違いはありません。

この記事では、特に区別する必要がない部分ではまとめて「アマガエル」と呼びます。

木登りが得意なカエル

アマガエルの成体は数cmほどの小さなカエルです。

指先には丸い吸盤があり、草や木の枝だけでなく、ガラスやプラスチックの壁面にも張りついて登ることができます。

田んぼなど水辺のイメージが強いものの、成体は草や低木の上などで過ごすことが多く、水中で生活し続けるカエルではありません。

繁殖期になると田んぼや池などの水辺へ集まり、水中に卵を産みます。

緑色だけでなく茶色にもなる

アマガエルといえば鮮やかな緑色を思い浮かべますが、いつも同じ色をしているわけではありません。

周囲の環境や明るさなどに応じて、緑色から灰色、茶褐色などへ体色を変化させます。

飼育しているアマガエルが茶色くなっても、それだけで体調が悪いとは限りません。

アマガエルの飼育環境

アマガエルは小型ですが、ケースの壁や枝をよく登ります。そのため、床面積だけでなく高さのあるケースが飼育に向いています。

昆虫用のプラケースでも飼えますが、長期飼育するなら高さ30cm程度以上あるケースが使いやすいでしょう。

蓋は必ず閉める

アマガエルはガラスやプラスチックの壁面にも簡単に登ります。

蓋をしていなければ、そのままケースの外へ逃げてしまいます。わずかな隙間から脱走することもあるため、通気性を確保しつつ、しっかり閉まる蓋を使用します。

枝や植物を入れる

ケース内には、アマガエルが登ったり休んだりできる場所を作ります。

  • 枝
  • 流木
  • 樹皮
  • 生きた植物
  • 人工植物

などを利用できます。

葉の裏や枝の陰で休むこともあるため、隠れられる場所も作っておくとよいでしょう。

ただし、レイアウトを複雑にしすぎると掃除が難しくなります。最初は枝や植物を数本入れたシンプルな環境でも十分です。

床材

床材には、赤玉土や両生類用のソイル、水苔などを利用できます。

掃除のしやすさを優先するなら、湿らせたキッチンペーパーを使う方法もあります。

土を利用する場合も、ケースの底を水浸しにする必要はありません。乾燥させすぎない程度の湿り気を保ちます。

温度と湿度

活動期のアマガエルは、21〜28℃程度を目安に管理できます。

日本に生息するカエルなので多少の温度変化には対応しますが、長時間の高温には注意が必要です。特に真夏にケース内が30℃を大きく超えるような環境は避けます。

透明なケースを窓辺の直射日光に当てると、短時間で内部が高温になることがあります。日光浴をさせるつもりでケースごと日なたへ置くのは避けましょう。

霧吹きで乾燥を防ぐ

アマガエルは皮膚から水分を取り込むため、乾燥し続ける環境には向きません。

1日1回程度を目安に、床材や植物、ケースの壁などへ軽く霧吹きをします。

ただし、常にケース全体がびしょびしょになっている必要はありません。湿度を保ちながら通気性も確保し、蒸れないようにします。

水入れは用意する

ケースには、アマガエルが体を浸せる浅い水入れを用意します。

アマガエルは主に腹部などの皮膚から水分を吸収するため、深い水槽を作る必要はありません。カエルが簡単に出入りでき、体が収まる程度の容器で十分です。

水入れは排泄物などで汚れることがあるため、毎日確認して新しい水へ交換します。

アマガエルは泳ぐこともできますが、成体は水中生活をするカエルではありません。飼育ケース全体を水場にする必要はありません。

アマガエルの餌

アマガエルは肉食性で、野外では小さな昆虫やクモなどを捕まえて食べています。

飼育では、

  • コオロギ
  • ショウジョウバエ
  • ハエ
  • 小型のバッタ
  • ミルワーム
  • 小さなガやイモムシ

などを利用できます。

中でもペットショップで入手しやすいコオロギは、普段の餌として使いやすいでしょう。

餌は小さめを選ぶ

餌は、アマガエルが簡単に飲み込める大きさを選びます。

目安として、カエルの頭幅より大きすぎない昆虫を与えるとよいでしょう。

小さな幼体には、ショウジョウバエや孵化したばかりの小型コオロギなどを利用します。

餌を与える頻度

成体では2〜3日に1回程度を目安にし、体格や食欲を見ながら量を調節します。

成長途中の小さな個体はより多くの栄養を必要とするため、少量を毎日から1日おき程度に与えます。

ケースに残ったコオロギは放置せず、食べなかったものは回収します。

カルシウムも補給する

飼育下では、コオロギなどへ両生類・爬虫類用のカルシウム剤を薄くまぶして与えることができます。

ひとつの餌だけに偏らず、可能であれば数種類の昆虫を組み合わせるとよいでしょう。

餌用のコオロギにも専用フードなどを与え、状態のよいものをアマガエルへ与えます。

肉や魚を主食にする必要はない

アマガエルは動くものに反応するため、ピンセットで動かした肉や魚へ飛びつくこともあります。

しかし、通常の飼育で肉や魚を主食として利用する必要はありません。コオロギやハエなどの昆虫を中心に与える方が管理しやすくなります。

多頭飼育はできる?

同じくらいの大きさのアマガエルであれば、複数で飼育されることもあります。

ただし、狭いケースでは餌を十分に食べられない個体が出たり、体格差が大きいと小さな個体が餌として狙われたりすることがあります。

複数飼育する場合はケースを広めにし、それぞれの個体が餌を食べているか確認します。

初めて飼育する場合は、1匹で飼う方が健康状態や餌の量を把握しやすいでしょう。

アマガエルの冬越し

野生のアマガエルは、冬になると地中や落ち葉の下などに隠れて冬眠します。

飼育下でも冬眠させることはできますが、温度や水分の管理が必要です。特に初めて飼育する場合は、冬眠させずに加温して冬を越す方法の方が管理しやすくなります。

冬眠させずに冬を越す場合

冬も活動させる場合は、ヒーターなどを使って20℃台を保ち、餌を食べられる環境を維持します。

ヒーターを利用する場合は、ケース全体が高温にならないよう温度計で確認します。

冬は暖房によって空気が乾燥しやすいため、水入れと霧吹きによる水分管理も続けます。

冬眠させる場合

冬眠させる場合は、秋から自然に気温が下がる環境で過ごさせ、湿り気のある土や水苔、落ち葉など、潜って休める場所を用意します。

冬眠中も完全に乾燥させず、凍結するほど低温になる場所は避けます。

暖かい室内と寒い屋外を頻繁に行き来させるのではなく、温度変化の少ない環境で管理します。

アマガエルの寿命

アマガエルの寿命は5〜10年ほどです。

体は小さいものの意外と長生きするカエルで、飼育下でも長期間生きることがあります。

一時的に観察するだけでなく本格的に飼育する場合は、数年間にわたって餌や水、飼育環境を用意することを考えておきましょう。

アマガエルには毒がある?

アマガエルの皮膚からは、刺激性のある物質が分泌されています。

人が触っただけで命に関わるような強い毒ではありませんが、目や口、傷口などに入ると刺激を受けることがあります。

アマガエルを触った後は手を洗い、洗う前に目や口を触らないようにしましょう。

アマガエルのためにも触りすぎない

必要以上にアマガエルを素手で触ることも避けます。

カエルの皮膚は薄く、人間の手についている汚れや化粧品、ハンドクリームなどの影響を受けることがあります。

普段はケースの中で観察し、掃除などで移動させる場合も必要以上に長く持たないようにします。

アマガエルの鳴き声

アマガエルは「クワッ、クワッ」「グェッ、グェッ」と聞こえる声で鳴きます。

特によく鳴くのはオスで、春から夏の繁殖期には田んぼや池の周辺で一斉に鳴く声を聞くことができます。

また、繁殖期以外でも雨の前後などに鳴くことがあります。「雨蛙」という名前も、雨との結びつきが強いことから付けられたとされています。

オスを室内で飼うと夜間などに鳴く場合があります。小さな体のわりに声は大きいため、飼育場所によっては鳴き声も考えておきましょう。

アマガエルの繁殖

アマガエルは春から夏にかけて繁殖します。

オスは田んぼや池などの水辺で鳴いてメスを呼び、メスは水中に卵を産みます。

孵化したオタマジャクシは水中で成長し、後ろ脚、前脚の順に生えてきます。やがて尾が短くなり、小さなカエルへ変態して陸上生活を始めます。

成体だけを飼育する場合は大きな水場を用意する必要はありませんが、繁殖からオタマジャクシまで育てる場合は、成体用とは別に水中で育てる環境が必要です。

野外から捕まえる場合の注意

アマガエルは身近なカエルですが、どこでも自由に採集できるとは限りません。

公園や自然保護地域などでは、生き物の採集が禁止されている場合があります。野外から捕まえる場合は、その場所のルールを確認します。

また、購入した個体や長期間飼育していた個体を、別の地域へ放すことは避けましょう。

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まとめ

アマガエルは身近なカエルですが、長く飼育するには水分や温度、餌などを整える必要があります。

  • 日本のアマガエル属にはニホンアマガエルとヒガシニホンアマガエルがいる
  • 成体は草や枝などに登って生活する
  • 高さ30cm程度以上のケースが使いやすい
  • 枝や植物など、登れる場所を用意する
  • 21〜28℃程度を目安に管理する
  • 霧吹きと浅い水入れで水分を確保する
  • コオロギやハエなどの小さな昆虫を食べる
  • 冬眠させず、加温して冬を越すこともできる
  • 寿命は5〜10年ほど
  • 皮膚から刺激性のある物質を分泌する
  • 触った後は手を洗い、目や口を触らない

小さな体で枝や壁を登り、素早く昆虫を捕まえ、季節になると大きな声で鳴くアマガエル。身近なカエルですが、飼育してじっくり観察すると、野外では気づきにくいさまざまな行動を見ることができます。

主要参照元

  • 日本爬虫両棲類学会「日本産爬虫両生類標準和名リスト」
  • Shimada, Matsui & Tanaka(2025)“Genetic and morphological variation analyses of Dryophytes japonicus with description of a new species from northeastern Japan”
  • 札幌市円山動物園「ヒガシニホンアマガエル」
  • 環境省「いきものログ ニホンアマガエル」
  • キョーリン「ニホンアマガエルの飼育方法」
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