あなたは、リカオンという動物を知っていますか。
リカオンは犬の仲間で、オオカミのように群れを形成する動物です。「最強のハンター」と呼ばれることもあるぐらい、狩りの成功率も高いです。
ここでは、そんなリカオンについて解説していきます。
リカオンとは
分類 | 食肉目イヌ科リカオン属 |
学名 | Lycaon pictus |
体長 | 80~110cmほど |
体重 | 17 – 36kgほど |
生息地 | アフリカ |
リカオンはアフリカに生息し、哺乳綱食肉目イヌ科リカオン属に分類される中型の肉食獣で、イヌの仲間でもあります。ほかのイヌ科の動物と比べると、このリカオンは瘦せていて背が高く、耳が大きく狼爪(上つめ)がないなどの特徴があります。ほかのイヌの仲間とは違い、4本足で歩行を行うのも特徴として挙げられます。
体長は80~110cmほど、肩高は60~75cmほどとなり、体重はアフリカ北部では20~25kg、南部では30kgほどになります。オスのほうがやや大きく、メスはオスに比べると3~7%ほど小さくなります。
リカオンはいくつかの亜種が存在し、以下の表で生息地と簡単な特徴を示します。(和名が調べても出てきませんでしたので、英名を併記しています。カタカナで記したものは正式な和名ではありませんのでご了承ください。)
リカオンはアフリカのサバンナや草原に生息しています。視界が開けず狩りをするにあたって都合がよくない森林地帯を避ける傾向はありますが、実際には標高の高い山の中でも姿が確認されています。
名前 | 生息域 |
ケープ・リカオン(Cape Wild Dog) | アフリカ南部 |
イースト・アフリカン・リカオン(East African Wild Dog) | アフリカ東部 |
ウエスト・アフリカン・リカオン(West African Wild Dog) | アフリカ中西部 |
チャド・リカオン(Chadian Wild Dog) | チャド |
ソマリ・リカオン(Somali Wild Dog) | アフリカの角(ソマリアなど) |
リカオンの生態
リカオンの食べ物
リカオンは主に中型の哺乳類を餌としていますが、稀に小型哺乳類や大型の哺乳類を狙うこともあります。
東アフリカの個体はトムソンガゼルを、南あるいは西アフリカの個体はインパラやスプリングボックなどが主な餌となります。もちろん、これ以外の動物を食べることもあり、ヌーやアフリカスイギュウ、グラントガゼルなどの大型の動物、或いはネズミなどもっと小さい動物を狙うこともあります。
狩りは昼間に行い、主に視覚で獲物を探します。また、特に中型~大型の獲物を狙う場合、集団で狩りを行うのも特徴です。小さな獲物を狙う場合は、単独で狩りを行います。
狩りの成功率は高く、75~80%ほどの狩りが成功(諸説あり)するとされています。このようなことから、「アフリカの狩猟犬」という異名をもちます。リカオンの狩りの特徴については、この後により詳しく解説します。
集団生活
リカオンは群れ(パック)をもって集団生活を行います。パックにおける繋がりはライオンやハイエナなどよりもつよく、単独行動する個体はめったにいません。こどもには優先してえさを与えたり、群れ内では弱った仲間を助けたりすることでも知られています。
群れはおとなと子供で構成されますが、大人の数の平均は4~5頭という調査結果や、8~9頭という調査結果などがあり、地域によってこの結果は異なるようです。幼獣込みだと群れは10頭前後で構成されるのが一般的ですが、40頭を超える場合もあるようです。かつて生息数がもっと多かったころは群れの個体数も多い傾向にあったようです。
オスとメスでは支配階級が分かれており、メスの間は年齢の最も大きなメスが頂点となりますが、オスの間の場合は必ずしも年齢によっては決まらないようです。オスを統率するオスリーダー、メスを統率するメスリーダーの2匹がパックを率いることになります。また、原則としてオスは生まれたパックに留まりますが、メスは成長すると他のパックに移動します。
子供は基本的に階級の高いオスとメスが出産します。リカオンは強い体臭をもちますが、この体臭が群れが集まるのに役立つという説があります。ちなみにリカオンは独特なにおいを持つことでも知られていますが、そのにおいがする理由に関して詳しくはわかっていないようです。
リカオンの天敵
リカオンの天敵はほとんどいないのですが、天敵の一つにライオンなどがあげられ、実際にライオンが多い地域ではリカオンの生息数は少なくなる、といった調査結果もあるようです。ほかに天敵になりうる動物としてはハイエナなどがあげられます。
リカオンの狩りについて
リカオンは「最強のハンター」と呼ばれることもあるぐらい、狩りの得意な動物です。先ほども述べたように狩りの成功率は高く、75~80%ほどの狩りが成功(諸説あり)するとされています。
ちなみに百獣の王といわれるライオンの狩りの成功率は20~25%ほどと言われているので、リカオンの狩りの成功率が、いかにすごいかよくわかります。
リカオンは前で述べた通り群れで協力して狩りを行うことに加え、動物の中では驚異的なスタミナをもちます。リカオンの走行速度は50km/h程度ですが、長距離を走ってもへばらないスタミナがあるため、狙った動物が疲れ果てたところを一気に狙い仕留めることができます。
狩りの様子に興味がある方は、以下の動画も参照して下さい。※動物の狩りの動画です。ショッキングな場面が含まれますので、苦手な方は閲覧を避けるようにしてください。
投票で狩りに行くかを決めている?
リカオンは実際に狩りに行く前に集団で集まって投票のような形で狩りに行くかを決めている、という説があります。集団で集まった際にくしゃみのような発声をし、狩りに行くかの意思表示を行うようです。この意思決定システムでは、群れの中で地位の高い個体の意思が反映されやすいのも特徴として挙げられます。
絶滅が危惧されている?
かつてはアフリカの広い範囲に生息していましたが、現在は個体数が大きく減ってしまい、特にアフリカの北部や西部ではほぼ絶滅状態になってしまったようです。
リカオンはEN(endangered)としてIUCNのレッドリストに記載されています。生息地の減少に加え人間との衝突、ウイルス性の感染症などが主な脅威となっています。
またリカオンは人間の家畜を襲う害獣とみなされることがあり、その結果殺されてしまうこともあります。
リカオンがみられる動物園
リカオンは当然日本で野生下で見ることはできませんが、リカオンを飼育している動物園は日本にいくつかあります。富士サファリパークやよこはま動物園ズーラシアなどで飼育されているようです。リカオンを見てみたい方は、このような動物園を訪れれば見れると思います。いずれも園のマップに記載があります(2023年1月現在)。
また2022年には浜松市立動物園で、よこはま動物園ズーラシアから譲り受けたリカオンの飼育が始まったようです。こちらも飼育動物一覧に記載(2023年1月現在)がありますので、見られると思います。
最新の状況がどうなっているかはわからないので、詳細は問い合わせていただければと思います。
最後のまとめ
最後に要点を簡単に纏めると
- リカオンはアフリカに生息する中型の肉食獣
- 6~20頭程度の群れ(パック)を形成して行動し、群れ内でのつながりも強い
- 群れで協力して狩りを行うこと、高いスタミナをもつことから、狩りの成功率は極めて高い
- 生息数は近年減少傾向で、IUCNのレッドリストにも記載されており、保護のための活動も行われている
- 日本の一部の動物園ではリカオンを見ることもできる
といった感じになります。
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