センザンコウは、センザンコウ目センザンコウ科に属する1目1科の動物です。アルマジロとアリクイを合体させたような姿形が特徴的です。ここでは、このセンザンコウについて紹介します。
大きさや外見の特徴
センザンコウの大きさは30~100cmぐらいで、種類によって大きさは異なります(以下表参照)。また、オオアリクイなどと同じく舌が非常に長く、40cmほどにも達する舌を持っています。
アルマジロのような鱗を持っており、全体的にもアルマジロに似た印象を受けます。しかしセンザンコウの鱗は縁が刃物のように鋭くなっており、攻撃にも利用されます。一方でアルマジロの鱗はあくまで装甲の役割です。
センザンコウの生息域
センザンコウはアジアのインド~中国、東南アジアや、アフリカの中南部のあたりに広く生息しています。種類によって生息している場所も異なります。
センザンコウの生態
センザンコウの食べ物
センザンコウはアリやシロアリなどを主に食べて生息しています。他にも昆虫の幼虫などを食べることがあります。最大で200gほどの昆虫を1日に消費します。アリの重さはだいたい1~5mgといわれているので、蟻1匹を2mgと仮定すると、蟻を200g食べるには10万匹食べるという計算になります。あまり目がよくないため、においや音をもとに獲物を探します。
センザンコウの繁殖
センザンコウは1年に1度、メイティングシーズン(主に夏~秋)のみメイティングします。オスがメスより大きく、体重比だと40%ほど大きくなります。出会いの際にはオスは尿や排泄物などを用いてマーキングし、これをメスが見つけるといった感じになります。そこでオス同士の競争が起きれば、オスはしっぽを使ってメスをめぐって争うこともあります。
懐胎期間は70~140日ほどで、一度にアフリカのセンザンコウは1匹、アジアのセンザンコウは1~3匹の子供を産みます。生まれたての赤ちゃんは白っぽく、大きさは15cmほどになります。生後2年ほどで性成熟を迎え、独立していきます。
絶滅の危機?
センザンコウは上に挙げた種類すべてが絶滅危惧種としてICUNのレッドリストに掲載されています。特にアジアのセンザンコウは絶滅危惧IB類(Endangered,EN)あるいは絶滅危惧IA類(Critically endangered,CR)となっており、特に深刻になっています。
センザンコウは現地で食用として利用されたり、薬品や魔除けに利用されたりします。そのため、現地では利用価値が高く、密猟などによって数を減らしています。他にも革に利用されることもあり、こちらも非常に貴重で高い値段がつきます。
アルマジロとの違いは?
一見アルマジロと似ているように見えますが、センザンコウの鱗はマツボックリのようにとがっており、あくまで装甲の役割を担うアルマジロの鱗とはかなり違った形(アルマジロの鱗は尖っていません)をしています。そのため、鱗の形を見れば、容易に見分けることができます。
アルマジロとセンザンコウは鱗を持つ点で一致していますが、進化の過程を見るともともとは全く違う生き物で、収斂進化(違った生き物が進化の過程で似たような特徴をもつようになること)の1つだといえます。
動物園で見れる?
東京の上野動物園、名古屋の東山動物園ではミミセンザンコウが見れるようです。現状どうなっているかはわからないので、確実に見たい方は問い合わせてから行くとよいと思います。
最後に
密猟の犠牲になって生息数を減らしており、革が高値で取引されるなど非常に貴重な生き物となっています。動物園で見れる方は足を運んでみるのもよいでしょう。