あなたは、フユシャク(フユシャクガ)という蛾を知っていますか。漢字では「(冬尺)冬尺蛾」と書き、シャクガ科に属する蛾の中で冬に活動するものをまとめてフユシャクと呼びます。メスの翅が退化しているなど、冬に活動する以外にも独特な一面をもつ蛾です。今回は、そういったフユシャクについてみていきたいと思います。
フユシャクとは?
先程も述べた通り、フユシャクはシャクガ科に属している蛾の中で冬に活動するものの総称です。シャクガ科の蛾というのは、もう少しかみ砕けばシャクトリムシ(尺取虫)が成虫になったものです。冬の間に羽化~産卵までを終わらせ、そののち死んでいきます。
どんな種類がいる?
フユシャクガ亜科の十数種に加え、エダシャク亜科、ナミシャク亜科といった亜科に属するシャクガの一部もフユシャクガに分類される種類がいます。なので実際には、フユシャクガと呼ばれるものは数十種類いるのです。
フユシャクガ亜科に分類される種類としてはシロオビフユシャク、クロバネフユシャク、クロテンフユシャク、ヤマウスバフユシャク、ウスバフユシャク、スジモンフユシャクなどがいます。エダシャク亜科にはウスオビフユエダシャク、チャバネフユエダシャク、ヒロバフユエデシャクなど、ナミシャク亜科にはイチモジフユナミシャク、サザナミフユナミシャク、ナミスジフユナミシャクなどがいます。
フユシャクはどこにいる?
フユシャクは特別珍しい昆虫ではないのですが、冬にフユシャクが飛んでいるのはあまり見たことないなあと思う方がほとんどだと思います。この蛾はもともと夜行性で、生息場所も林や木の多い公園なんかが中心です。昼間は落ち葉の下などに隠れていることが多く見つけづらいです。なので普段見かけることはあまりないかもしれません。
飛べない蛾?
フユシャクのオスは我々が想像するような普通の蛾と見た目はさほど変わりありませんが、フユシャクのメスは翅が退化しており、もちろん飛ぶこともできません。なのでフユシャクのメスはいわば胴体だけの蛾、といった感じです。なお、なぜメスは翅が退化したのか?といえば諸説があるようで、明確にこれといったものはないようです。
フユシャクのライフサイクル
フユシャクのメスは飛べないのですが、その代わりにフェロモンでオスをおびき寄せる術を身につけています。オスとメスが出会えば交尾を行い、そしてメスは木の枝に産卵します。
産み付けられた卵は春の初めごろ孵化し、所謂シャクトリムシになります。2週間ほど食草となる植物を食べて成長したのち、土の中へ潜って蛹になります。そして晩秋~冬になると成虫となって活動を開始します。成虫の活動期間は11~3月ごろとされています。
フユシャクガの寿命
寿命は1か月ぐらいです。成虫になってからはほとんど何も食べず生を全うするようです。
最後に
いかがでしたか。冬に活動する蛾がいるのは驚きですね。