あなたは、クロザルという猿を知っていますか。霊長目オナガザル科に分類される猿の1種で、絶滅寸前(Critically Endangered)としてレッドリストに記載されており、絶滅が危惧されている猿でもあります。では、このクロザルはどういった生き物なのでしょうか。今回は、そういったクロザルについて解説していきたいと思います。
大きさや生息域
大きさは44~60cmぐらい、重さは3.6~10.4kgぐらいです。インドネシアのスラウェシ島に生息しています。
自撮りした?
2011年ごろ、写真家のデイヴィッド・スレイターがクロザルの撮影のためにインドネシアに滞在していたとき、雌のクロザルがスレイターのカメラを用いて何枚もの写真をとっていました。その写真の中にクロザルの姿が明確に映っているものがあり、「サルの自撮り」として話題になりました。(以下の写真がそれです)
この写真の著作権が誰に属するかということでも話題になりました。スレイターは自身の著作権を主張、動物愛護団体はクロザルの著作権を主張しましたが、結果的に現在著作権は認められていないようです。
クロザルの生態
陸上で生活する猿で、寝るときとエサを探すために木へ登る場合を除いては地上で生活しています。地上では他個体とのコミュニケーションや餌探しなどをしています。
クロザルの食べ物
クロザルは果実を主食としており、食べ物の70%を果実が占めています。他にも葉や種、鳥やその卵、昆虫、小さなカエルやトカゲなどいろいろなものを食べます。
クロザルのグループ行動
クロザルは基本的には5~25頭ほど、時折それを大きく超える数のグループを形成して暮らしています。小さいグループであればおとなのオスは1頭しかいませんが、大きいグループになると数頭の大人オスが1つのグループにいるようになります。メスの数はオスより多く、オスの数の4倍ほどの数になります。
若いオスは性成熟を迎えると群れから強制的に追い出されてしまいます。そういった独身のオス同士がオスメス入り混じった本来のグループと繋がりを持つ前にグループを形成することもあるようです。
グループ間では、音やゼスチャーを使った様々なコミュニケーションがされています。オスメスの間のパートナー関係などは基本的になく、オスメス共に様々なパートナーと接して乱交状態になっています。
妊娠期間は6か月弱で、食べ物の豊富な春ごろに1頭の子を産みます。3,4年ほどで性成熟を迎えます。
絶滅危惧種!?
冒頭で述べた通り、クロザルは絶滅寸前(Critically Endangered)としてレッドリストに記載されており、絶滅が心配されています。絶滅寸前の段階は絶滅危惧の種類の中でも最も絶滅が心配されている段階に入るため、絶滅危惧の心配が強いことが伺えます。人間の狩猟や生息地の減少などで生息数が大幅に減少しているとされていて、現在は保護区になっているところでも密猟が行われているようです。現在スラウェシ島に生息している個体数は4000~6000頭ほどになってしまっています。
クロザルの寿命
寿命は20年ぐらいとされています。
最後に
絶滅の心配がかなり強い猿ですが、なんとか生息数が回復していくとよいですね。