ヘラクレスオオカブトは、ずばり世界最大のカブトムシで、昆虫好きの方にとっては憧れともいえる存在ではないでしょうか。
へラクレスオオカブトは、外国産カブトムシの中では飼育は特別難しくなく、家庭でも温度に気を付ければ十分チャレンジが可能です。
ここでは、そんなヘラクレスオオカブトの飼育について紹介していきます。
ヘラクレスオオカブトの種類
へラクレスオオカブトは、いくつかの亜種に分かれていて、それぞれ大きさや胸角、頭角の突起や太さ等に違いがあります。
※これらの亜種は、シノニムとする説もあります。
ヘラクレス・ヘラクレス | 基亜種で、市場でも最も出回っており、価格も安定しています。大きさも全亜種の中で最大になります。
一方で最近は生息国の規定によりワイルド品が全く入荷していません。 |
ヘラクレス・リッキー | ヘラクレス・ヘラクレスに次いで大きくなる種類で、流通量も2番目に多く価格も安定しています。
ヘラクレス・ヘラクレスに比べると角が細くなります。 |
ヘラクレス・オキシデンタリス | 基亜種の流通が少なかったころは、リッキーと並んで流通の多くを占めていました。
♂の最大サイズは145mmほどです。胸角が細いのが特徴で、細ヘラクレスという異名があります。 |
ヘラクレス・レイディ | 最大でも100mmを少し超える程度で、小型のヘラクレスです。
胸角、頭角が短いのが特徴的です。 |
ヘラクレス・トリニダデンシス | オスの最大サイズは140mm程度とやや小型です。
名前は産地のトリニダード島に由来しています。 |
ヘラクレス・パスコアリ | 突起のない頭角が特徴です。♂は最大145mmほどになります。
最近はワイルド品の入荷がなく、日本でブリードされたもののみが出回っています。マニアを中心に人気のある種類です。 |
ヘラクレス・ブリュゼニ | ♂の最大サイズは150mmを少し超えるぐらいです。
こちらも日本でブリードされたもののみが出回っていて、マニアを中心に人気があります。 |
ヘラクレス・エクアトリアヌス | ♂の最大サイズは160mmを超え、比較的大型の種類です。
マニアを中心に人気があり、価格も結構変動が大きい印象です。 |
ヘラクレス・セプテントリオナリス | ♂は最大140mmほどで、こちらもマニア受けの強い種類です。
オキシデンタリスによく似た外見をしています。 |
ヘラクレス・モリシマイ | ♂の大きさは最大120mm程度とやや小型のヘラクレスです。
容姿はヘラクレス・ヘラクレスに似ており、幼虫期間がやや短めになる傾向にあります。 |
ヘラクレス・タカクワイ | 胸角、頭角ともにほとんど突起がないのが特徴的です。
現在は生きたものは出回っていません。 |
なおヘラクレス・トゥクストラエンシスという亜種がメキシコで発見されましたが、この亜種は2体しか発見されておらず、存在がそもそも怪しいので除外しています。
ヘラクレス・レイディによく似た種類にヘラクレス・バウドリーがいます。
しかしレイディとよく似ており、レイディと同亜種とされることが多く、流通の際にもレイディのバウドリータイプとして流通していることが多いです。
レイディの中で頭角に突起が2本以上あるもの&胸角が太目のものをバウドリータイプと呼びます。
バウドリータイプは通常のレイディよりやや高値で取引される傾向にあります。
<ヘラクレス・ヘラクレス>
<ヘラクレス・リッキー>
出典:http://opencage.info
<ヘラクレス・レイディ(バウドリータイプ)>
出典:http://opencage.info
ヘラクレスオオカブトの大きさ、最大サイズ
先程紹介したように、ヘラクレスオオカブトはいくつかの亜種が存在(現在はシノニムとして扱われているようです)し、それぞれ大きさは違いがあります。
最も大きくなるものはヘラクレス・ヘラクレスで、最大178mmほどまで達します。ちなみに、飼育下でのギネスサイズは180mmを超えています。
一般的に売られているものは110~150mm程度のものが多いです。もちろん、大きくなるほど値段は高くなります。
ヘラクレスオオカブトの飼い方
へラクレスオオカブトは、温度さえ気を付ければ基本的に日本のカブトムシやクワガタと同じ要領で飼うことができます。
用意するもの
用意するものは以下の通りです。
- 飼育ケース
- 昆虫マット
- 止まり木
- 餌ゼリー
飼育ケース
入れ物となる飼育ケースは、なるべく大きい入れ物を用いてください。オス1匹を飼う場合、最低限プラケース中ぐらいの大きさが必要です。
最低限の広さがあれば入れ物は飼育ケースでなくても何でもいいですが、力が強いので脱走の危険性を少なくするため、
- フタが閉まるもの
- 最低限の深さがあるもの
を使ってください。
昆虫用の飼育ケースを使えば基本的には問題ありません。
餌ゼリー
餌には、昆虫専門店やホームセンター等で売られている昆虫ゼリーを使うのが無難です。
大食漢なので、できれば昆虫ゼリーは65gのものを使うのがお勧めです。
昆虫マット
下には昆虫用のマットを敷いてください。
単に飼育するだけならマットの種類に拘る必要はありませんが、産卵をさせたい場合は、発酵が進んで黒っぽくなったカブトマットを使ってください。
マットの深さは数cmでもOKですが、産卵をさせたい場合は飼育ケースの深さの7割程度詰める必要があります。
産卵セットの組み方は後程改めて解説しますので、是非ご覧になってください。
止まり木
転んだ時でも起き上れるよう、転倒防止用の止まり木は必ず入れてください。
転んだまま起き上がれないと最悪死んでしまいますので注意が必要です。
温度管理について
ヘラクレスオオカブトは熱帯の山のなかに生息しています。
なので外国産の生き物全般に言えることなのですが、温度管理が必要になります。30℃以上でも耐えられないことはないですが、風通しなんかをよくするなど工夫してやる必要があります。
ヘラクレスオオカブトは外国産の昆虫の中では丈夫な方なので、神経質になりすぎる必要性はありませんが、恒常的に暑すぎたり寒すぎたり(15℃以下)という環境は避けたほうが無難です。
理想はエアコン管理、あるいは20~28度程度に保てる温室をつくることです。
最近はエアコンも省エネになりつつあり、建築材料によってはエアコン管理でもそこまでお金はかからない場合が多いです。
エアコン管理がきつい方は、ペットボトルに水を入れたものを凍らせておき、暑いときは利用するとよいと思います。
外出時には、ふろなどに水を薄く入れて、その中に容器を入れておけば気化熱で温度の上昇を少し抑えられます。
冬も理想はエアコン管理や温室管理ですが、ヒーターなどを利用することで十分カバーできます。
産卵させるには
ヘラクレスオオカブトは国産カブトと同じく昆虫マットに産卵します。
昆虫マットには、一般的にカブトマットと呼ばれる黒っぽい発酵の進んだマットを使用する必要があります。入れ物に関しても、プラケース特大や衣装ケースなどの大きな入れ物を用意することで、産卵数を増やすことができます。
そこに容器の深さの7割ほどカブトマットを固く詰めます。
そこに転倒防止用の止まり木と昆虫ゼリー、そして交尾が済んだメスを入れます。何週間かすればマットを出してみるとよいでしょう。産んでいれば卵や幼虫が出てきます。
幼虫は産卵時と同じカブトマットで飼育できます。
幼虫の飼育法については、以下の記事で詳しく解説しています。大きくするためのコツも記載しています。
交尾のさせ方
交尾に関しては、オスとメスを同じ容器に置いておき、何日かおいておけば交尾してくれる場合が多いです。
カブトムシは交尾欲が強いので、オスメスが出会えばすぐに交尾してくれることも多いです。
交尾を目視していない場合でも、昆虫ゼリーのところにオスメスが一緒にいれば交尾済みとみなしてよいでしょう。
なお、ワイルド品(野外採集されて入荷されたもの)のメスを買えば、交尾済みの場合が多いですが、いかんせん高価ですし寿命も予測できないため、初心者の方は無理に買う必要はないと思います。
ヘラクレスオオカブトの寿命は?
寿命はだいたい6か月程度で、国産のカブトムシよりは長いです。長いもので最大1年ほど生きることもあります。
※ブリード(繁殖)させようとすれば、その分体力消費が激しいため寿命は短くなる傾向にあります。
ヘラクレスオオカブトの価格は?
出典:http://opencage.info
ヘラクレスオオカブトの値段はだいたい成虫だと1万円~、幼虫だと1匹500~1500円ぐらいが目安です。
<ヘラクレス・ヘラクレス&ヘラクレス・リッキーのサイズごとの価格>
100mm~ | 10,000円~ |
120mm~ | 12,000円~ |
140mm~ | 15,000円~ |
150mm~ | 20,000円~ |
幼虫だと安いけど、もちろん成虫になるまでに死んでしまうリスクがゼロではないうえ、育てるまで時間も金もかかるから何とも言えないところはあります。
だけど幼虫が大きくなっていくところを見るのは楽しいし、幼虫から飼ってみるのもオススメです。
エクアトリアヌス、セプテントリオナリス、パスコアリ、ブリュゼニなどは値段が高いですが、マニア受けが強いです。
レイディやオキシデンタリスはやや小型だけど、価格は原名亜種と同じぐらいです。
ちなみに、ヤフーオークションを利用すれば場合によっては安く手に入れることも可能です。
オークションに抵抗がない場合は、オークションで買ってみるのも良いかもしれません。
ブルーヘラクレス
稀に上翅が青色っぽいヘラクレスオオカブトがいて、これはブルーヘラクレスなどといわれ非常に重宝されます。売られているのはほとんど見たことがありませんが・・・。
以下のページでブルーヘラクレスについて掘り下げて解説していますので、併せて御覧ください。
関連記事:ムシキングでおなじみ、ヘラクレスリッキーブルーを解説!
最後に
昆虫少年の憧れでもあるヘラクレスオオカブトですが、飼育方法も確立され、最近は値段も落ち着いています。
あなたも是非、当記事を参考にヘラクレスオオカブトの飼育にチャレンジしてみてくださいね。
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