アオツラカツオドリ。普段生活しているとなかなか耳にすることはない鳥ですよね。実際に日本の一部に生息している鳥ではありますが、日本本土には生息していない鳥です。加えて生息数も減少中で、なかなかお目にかかれる鳥ではありません。そう考えればメジャーな鳥ではないのは納得できるところがありますね。
では、アオツラカツオドリとはいったいどのような鳥なのでしょうか。今回は、彼らの生態や特徴などを調べていきたいと思います。
アオツラカツオドリの生息域
東部を除く大西洋、太平洋、インド洋などの熱帯地域~亜熱帯地域に生息しています。その中に浮かぶ島において繁殖を行っています。日本だと伊豆諸島や南西諸島、小笠原諸島などに分布しています。ちなみに「ダーウィンが来た!」で放送される西之島は小笠原諸島に属します。
ちなみに大西洋東部にはナスカカツオドリというすこし違った種類が生息しています。アオツラカツオドリは基本的には外洋で暮らしていて、繁殖するときだけ島へ上陸します。
アオツラカツオドリは何を食べる?
アオツラカツオドリは肉食です。主として食べるのは魚類となります。上空から一気に降下して、海の中の獲物を捕らえます。
アオツラカツオドリの特徴
全長は74-91cmほどで、翼開長は137-165cmほど。体重は1.2~2.3kg程度となります。この大きさはカツオドリ属の中では最大となっています。全身白色をしていますが、羽の部分や尾の部分に黒い部分が混ざっています。オスとメスは外見はほとんど同じです。違いを挙げれば、くちばしの色がオスは黄色なのに対して、メスはやや緑色がかった黄色をしています。
アオツラカツオドリの繁殖
では、アオツラカツオドリはどのようにして繁殖するのでしょうか。アオツラカツオドリは小さな集団において多くの鳥と同様に巣を作ります。そして2つほどの卵を産みます。卵は親が43-45日ほどあたため、そののちに孵化します。
しかし、たいていの場合において、最初に生まれてきた子は、もう一方の兄弟は巣の外へ放り出してしまいます。放り出された兄弟は暑さや天敵により死んでしまいます。デビッド・アンダーソンら研究者は、もちろんこうやって殺さずに育てていくことも不可能ではないが、将来の繁殖や彼ら自身の健康に悪影響を及ぼしてしまう、と論じています。
長い目で見れば、片方のひなの生存確率を上げ、そしてアオツラカツオドリそのものの種の生存確率を上げることに寄与しているということです。冷酷ですが、自然界を生き抜くための一つの戦略なのでしょうね。
アオツラカツオドリの種類
アオツラカツオドリ、といってもそのなかでいくつかの亜種が知られています。以下で亜種を簡単に紹介しておきます。ちなみに、昔はカツオドリはペリカン目に含まれていましたが、最近になってカツオドリ目に分離されています。これらの4亜種は、見た目で判断するのは難しいです。
- アオツラカツオドリ(Sula dactylatra personata) 繁殖域:太平洋中西部やメキシコなど
- 大西洋アオツラカツオドリ(Sula dactylatra dactylatra) 繁殖域:カリブ海といくつかの大西洋の島など
- 西インド洋アオツラカツオドリ(Sula dactylatra melanops) 繁殖域:インド洋など
- タスマンアオツラカツオドリ(Sula dactylatra tasmani) 繁殖域:ロードハウ島、ケルマディック諸島(両者ともニュージーランドの周辺に位置しています)など
最後に
なかなか聞かない鳥ですが、おもしろい生態をしているアオツラカツオドリ。「ダーウィンが来た!」の西之島特集でもすこし登場するようですが、ぜひとも名前を頭の隅にでも置いておいてください。