マツムシといえば、童謡の「虫のこえ」にも登場し、日本の秋の風物詩でもある鳴く虫たちの中でも有名なものの1つです。幼いころ、昆虫図鑑などで見た方も多いのではないでしょうか。
今回は、そういったマツムシについて見ていきたいと思います。マツムシの生態や飼育に興味のある方は、是非参考にしてみてください。
マツムシの鳴き声
あれマツムシが ないている~♪
チンチロチンチロ チンチロリン♪
これは有名な童謡の「虫のこえ」の一節です。多くの図鑑でもそうですが、マツムシの鳴き声は「チンチロリン」と表されることが多いです。
「チンチロリン」というと、いかにも美しそうな鳴き声ですね。
実際のところは「チンチロリン」から想像されるような鳴き声とは少し違った感じで、「ピリリリッ」といった感じですが、なんやかんやで結構綺麗な鳴き声に感じます。
以下の動画で鳴き声を聞いてみてください。
ちなみに、マツムシの鳴き声は音量が大きく、もし家庭で飼育すると、結構うるさく感じるかもしれません。
関連記事:秋の風物詩!鳴く虫の鳴き声や種類を紹介!
大きさ、生息域
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マツムシは東北南部より南の本州、四国、九州に生息しています。
離島にはオキナワマツムシなどのよく似た種類が生息しています。オキナワマツムシは本土のマツムシと比べると、やや大型になる傾向にあります。
草地に生息しており、河川敷や高速道路沿いなどに多いようです。大きさは2~3cmぐらいで、スズムシよりは少し大型になります。
体色は茶色で、枯れ葉や枯れ枝などに擬態することができます。その一方で、彼らは基本的には緑の生きた植物の上で生活しています。
マツムシの生態や食べ物
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マツムシは雑食性です。食べ物としては草の葉のほかに、ほかの生き物の死骸なども食べます。
土の中に卵を産むコオロギやスズムシなどと違い、イネ科の植物の茎に産卵します。
茎に穴をあけたのち、産卵管を差し込んで産卵していきます。
なので後でも述べますが、飼育下で産卵させようと思えば、土を入れておくだけではなくススキなどのイネ科植物を産卵床として用意してあげる必要があります。
なお、マツムシは比較的開けた場所に生息しているため、人間の開発などの影響をもろに受けてしまいます。
なので、生息数は以前に比べると減少してしまっているようです。
アオマツムシについて
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日本に棲みつくようになった外来種のマツムシとして、このアオマツムシが挙げられます。
同じマツムシという名前がついていますが、普通のマツムシは褐色をしている一方このアオマツムシは緑色なので、色で判別は容易にできます。
加えて鳴き声もマツムシとは異なりますが、こちらも大音量の鳴き声のため、好き嫌いが分かれるところでもあります。
マツムシなどへの在来種の影響はよくわかっていないところが多いですが、懸念されるところでもあります。
以下の動画で、アオマツムシの鳴き声を聞いてみてくださいね。
マツムシの飼育
餌は何?
基本的にはスズムシやコオロギなどと同じものを与えれば大丈夫です。
市販されているスズムシ用のエサ、ナスやキュウリなどの野菜や果物、煮干しやカツオブシなどを与えていけばいいでしょう。
野菜や果物、煮干しはつまようじ等に刺して与えます。スズムシ用の餌やカツオブシといった粉末の餌は、適当な小さな皿に入れて与えましょう。
用意するものと日常の世話
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まずは入れ物と土を用意します。
入れ物に関しては普通の昆虫ケースでいいですが、逃げないようフタはしっかり閉まるものにしてください。
多頭飼育しても基本的には大丈夫ですが、その場合は密になり過ぎないようある程度の大きさの飼育ケースを用意しましょう。
そして用意した飼育ケースに土を何センチが敷きましょう。土に関しては赤玉土などを用いればOKです。そして産卵させたい場合は産卵床を用意します。
ススキなどのイネ科の植物の茎をとってきて多数さしておくと産卵床になります。加えてこれらの産卵床は隠れ家などにもなるため一石二鳥です。
産卵床に関しては枯れても新しいものに変えたりする必要はありません。。
マツムシは、イネ科植物の茎に卵を産み、土の中に卵を産むスズムシやコオロギとは産卵形態が違います。
この性質もあって、マツムシを繁殖するのは結構難易度が高いです。我こそはという方は、是非繁殖にもチャレンジしてみてください。
日常の世話
世話としては、餌替えや飼育容器の掃除に加え、乾燥防止のために霧吹きをするなどです。
野菜や果物等の餌は何日かすると劣化し、さらに放置しているとかびたり腐ってきて衛生上よくないので、食べ残しは都度取り除き、定期的に取り換えてください。
また、土が乾いてきたら必ず乾燥防止のために霧吹きで加水しましょう。
霧吹きは、マツムシが死んだあとも卵を産んでいれば継続して行うようにしてください。加水し過ぎるとぐぢゅぐぢゅになってしまうので、加水は軽く湿らせる程度でOKです。
マツムシの寿命
マツムシの寿命はだいたい成虫になってから2,3か月ぐらいで、長くても4か月ぐらいのようです。
野外では11月終わりごろまで成虫を見ることができます。幼虫は孵化してから、1~2か月ほどで成虫になるといわれています。
最後に
最後に、当記事で紹介したことを簡単に纏めます。
- マツムシは「チンチロリン」などと綺麗な声で鳴くが、声量は大き目
- 開発の影響で生息数は減少傾向にある
- 外来種のアオマツムシによる影響が懸念されている
- 一般的なスズムシなどと同じ要領で飼育できるが、産卵形態は異なる
- 寿命は成虫になってから数か月ほど
鳴く虫の代名詞の1種でもあるだけに、人間の開発により生息数が減っているのは残念なところです。興味がある方は、是非飼育にもチャレンジしてみてくださいね。
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