ご覧頂きありがとうございます。
今回は『ゾウリムシについて解説!大きさや構造は?培養できる?』というテーマでお送りしていきます。
学校の理科でもたびたび登場する、非常に小さな生き物であるゾウリムシ。
単細胞生物(細胞1つで構成されている生物)であり、草履のように見えることからゾウリムシという名前がついています。



ゾウリムシの大きさ

出典:https://oitamedakabiyori.com


1mmの10分の1といえば、その小ささがわかるかな??


肉眼の分解能がだいたい0.1mmぐらいと考えられていて、ゾウリムシの大きさとほとんど同じなんだ。
だから、肉眼で見えるかは何とも言えないね。
とりあえず点で見えるとは思うけど、人間の肉眼だと点で見るのがやっとで、ゾウリムシの形とかを具体的に観察しようと思えば、まず顕微鏡が必要だね。
※分解能とは、そのものを見分けられる最少距離のことです。顕微鏡の性能等を表すのによく使われます。
ゾウリムシの構造

理科の教科書でも見たことがあるんじゃないかな?
ゾウリムシは先程も述べましたが単細胞生物で、細胞1個でできています。
ゾウリムシの構造はだいたい以下のようになっています。それぞれの構造の役割については以下の表で簡単に解説しています。

細胞肛門 | 食胞の内容物の放出 |
大核 | 生きるための活動(代謝)を行う |
小核 | 遺伝情報を持っていて、遺伝情報を次世代へと受け渡す |
収縮胞 | 要らない水分を排出し、浸透圧を一定に保つ |
繊毛 | 泳ぐのに用いる |
細胞口 | 食物をとりこむ |
食胞 | 消化(細胞内消化)を行う |

このように、ゾウリムシは1つの細胞で食物の取り込みや消化・排出、移動、代謝など生きるのに必要なあらゆる事を行っているんだ。
逆に言うと、1つの細胞の中に生きるためのすべての機能が詰まっているんだよ。
この辺は入試で問われることもあるから、生物をやっている方は是非覚えておいてね。
ゾウリムシの食べ物・餌
ゾウリムシは主にバクテリア(細菌)を餌として生活しています。

逆に天敵はほかのアメーバ、ディティニウムなどのより大型の生物や、小さい魚などもゾウリムシを食べたりします。
ゾウリムシの殖え方
ゾウリムシは単に分裂によって無性生殖を行うこともありますが、有性生殖を行うこともあります。
有性生殖を行う際には、減数分裂によって小核が4つに分かれ、うち1つのみが残り、その1つが2つに分裂してそのうち1つを互いに交換し合うという珍しい方法をとります。



そうか・・・。
有性生殖と無性生殖については以下を見てくれ。どちらも自分の子孫を増やす(生殖)なんだけど、どのような生殖をするかは生物によってさまざまなんだ。
有性生殖・・・2つの配偶子の接合により、両者の遺伝子をもらって新たな遺伝子の組み合わせをもつ個体が生じる。
無性生殖・・・1つの個体が単独で新たな個体をうみだす。

少し難しいと思うから補足するね。
我々が父親の精子と母親の卵の受精により新たな個体をつくるように、配偶子(人間でいう卵と精子)の接合(2つの配偶子が合体)により、新たな個体をつくるのが有性生殖だよ。
無性生殖では、自分1人だけで新たな個体をつくるんだ。
人間が1人だけで個体を作るとか有り得ないよね。人間は有性生殖によってのみ殖えるってことだね。
他の哺乳類や魚類など、我々がイメージする動物はたいてい有性生殖だよ。
だけど我々になじみがないだけで、無性生殖を行う生き物もたくさんいるんだ。


有性生殖と無性生殖の決定的な違いって何かわかる・・・?


そうだね。そう考えると、無性生殖のほうが簡単で便利だよね。わざわざ相手に出会う必要ないし。
いわゆる童〇でも子供をつくれるしね。
でも、有性生殖によってのみ成し遂げられるメリットがあるんだ。

有性生殖では、2個体の遺伝子を半分ずつもらってそれの組み合わせで個体を作るんだ。
だから、親と子が持つ遺伝子の組み合わせは違うし、それによって無限大の遺伝子の組み合わせが可能になる。
だから、同じ種類の生き物でも様々な個性の個体ができるんだ。人間が1人1人違って個性があるのも、有性生殖をしてるからなんだね。
一方で、無性生殖だと、子供も親ももってる遺伝子は全く同じになってしまう。

もし何かしらの環境の変化があったとき、全ての個体が同じ遺伝子を持っていて、その遺伝子じゃ環境の変化に適応できなかったら、その種は滅亡だよね。
だけど、多様な遺伝子の組み合わせを持っていれば、どれかが生き残れる可能性がある。だから、一見面倒な有性生殖だけど、多くの生き物が採用しているんだ。
ゾウリムシは無性生殖でどんどん個体数を増やすんだけど、場合によっては有性生殖を行って、様々な遺伝子の組み合わせを持つ個体を作っているんだね。
このような子供を増やし方も、生き物が長い時間をかけて編み出した生存戦略なんだ。

ゾウリムシの培養法

ゾウリムシはご家庭で培養することもできるんだ。
観察の材料にもなるし、小さい魚などを飼っている方はそれの餌にすることもできるよ。
やり方を軽く紹介するね。
ゾウリムシを、餌と一緒にペットボトルに入れておけば、基本的にはそれだけでゾウリムシは増殖を開始していくようです。
ゾウリムシの餌としてはいろいろありますが、藁などを煮立てて枯草菌を餌とする方法や、あるいはそんなことをしなくても米のとぎ汁を用いたり、「強力わかもと」のような錠剤を入れて餌としてもよいようです。
ただしいずれにせよ、培養するためのもとになるゾウリムシは必要です。
温度は室温であればそこまで問題はないといえます。酸素不足にならないよう、フタは完全に閉めないようにしてください。
最後に
いかがでしたか。
今回は『ゾウリムシについて解説!大きさや構造は?培養できる?』というテーマでお送りしてきました。
最後に、当記事で紹介したことを軽く纏めます。
- ゾウリムシの大きさは0.1mmほど
- ゾウリムシは主にバクテリアを餌としている
- 有性生殖と無性生殖をそれぞれ行う
- 培養源のゾウリムシとエサを用意すれば、家庭でも培養可能
草履のような形をしたミクロな生き物であるゾウリムシ。普段は気にも留めないかもしれませんが、調べてみるとなかなかスゴイ生き物なんですね。