ご覧頂きありがとうございます。
今回は『スズメガ科の蛾はどんな蛾?幼虫の食草や種類は?駆除対象?』というテーマでお送りしていきます。
スズメガという蛾は、熱帯地域を中心に世界中に約1450種類が分布しており、日本にも多くの種類が生息しています。
あなたが普段見ているような蛾とは、一風変わった姿をしています。今回は、このスズメガについて解説していきます。
スズメガの特徴やライフサイクル
スズメガのほとんどの種は年に数回発生する性質を持ち、気候条件がよければ1年間に数世代が生まれます。
卵の期間は種類によって異なり、数日のものから数週間のものまであります。
幼虫の特徴
出典:https://matome.naver.jp
幼虫は丈夫な体を備える一方、毛はありません。
毛の代わりではないですが、幼虫のお尻の部分に角が生えているものが多いです。幼虫の色は緑色か茶色で、天敵から身を隠すために保護色をしているものが多いですが、白い斑点などをもつ種類もあります。
熱帯のスズメガの幼虫の一部は、擬態をしていると考えられています。
幼虫はアリなどの天敵に遭遇すると、ねばねばしたもの(毒性があることもあります)を吐き出すことがあります。
ただし基本的には、スズメガは毛を持ち合わせていないこともあり、とりあえず日本のものであれば無害だといえるでしょう。
幼虫の成長速度は気候によって差があります。幼虫期間が終わると蛹になり、2,3週間ほどで成虫になるものから、数か月かかるものまでいます。越冬する場合、たいていはこの蛹の形態で越冬します。
スズメガの幼虫の食草
スズメガの幼虫は、様々な種類の植物の葉を食べるというよりは、それぞれがある種類の植物のみを食べることが多いです。
例えば、日本の代表的なスズメガ科の蛾の1つであるオオスカシバは基本的にクチナシの葉を食べます。後でも述べますが、幼虫が食べる食草は種類によってまちまちです。
食草をとってくることができれば、幼虫の飼育も可能です。
その反面、幼虫はたくさんの餌を食べるため、多くの餌を用意する必要は出てきます。
そのため、このスズメガの幼虫がついてしまうと農作物に大きな被害が出てしまい、駆除の対象にもなっています。
幼虫の駆除法
基本的には大きな幼虫なので目立つので、目でも見つけやすいです。加えてスズメガは植物1つに大量発生することはありません。そのため、1つ1つ目で見て駆除していけば被害は減ることが多いです。
薬剤を用いるときは、代表的なものとしてはスミチオン乳剤や粒状のオルトランなどがあります。
また、スズメガは比較的大型の蛾なので、防虫ネットで未然に被害を防ぐことが可能です。
成虫が行うホバリング
成虫は、空中で静止するホバリングを行うというのがこのスズメガ科の大きな特徴です。
このホバリングを花の前で行い、ホバリングをしながらストロー上の口を花へ差し込んで花の蜜を吸います。
この姿は海外ではハチドリという鳥に似ているため、ハチドリと間違われることもあるようです。
関連記事:手乗りで話題・ハチドリってどんな鳥?日本にはいない?
<ホバリングをするスズメガ>
出典:https://dot.asahi.com
<ハチドリ>
出典:https://www.smithsonianmag.com
成虫の特徴
スズメガは、ほかの蛾とは見た目的にも比較的大きな違いがあります。
体はずんぐりしており、翅は三角形状なので、比較的ほかの種の蛾とは見分けやすいと思います。翅の幅は4~10cmほどです。
また、飛ぶスピードが非常に速いことも特徴として挙げられます。このことも、海外でハチドリと間違われることがある要因のようです。
昆虫の中でも非常に速い速度で飛ぶことができる種類で、1秒あたり5.3mほどの距離を進むことができます。
スズメガの種類
スズメガにはたくさんの種類がいます。ここでは、日本にいる代表的な種類と、その幼虫の食草を紹介します。
先程紹介したように、幼虫の食草がいろいろあることがお分かりいただけると思います。
オオスカシバ
スズメガの中では珍しく、昼行性で昼間に活動します。幼虫は先程述べたようにクチナシを食べます。オオスカシバについては以下のページでも解説しています。
エビガラスズメ
出典:http://mahoroba2005.blog50.fc2.com
幼虫の食草としては、ヒルガオ科のサツマイモなどが挙げられます。マメ科の植物を食べることもあるようです。
結構地味な感じのスズメガですね。
ベニスズメ
出典:https://commons.wikimedia.org
幼虫の食草はホウセンカなどです。
色は茶色が主体ですが、名前の通り、翅は美しい紅色のような色が入ります。
モモスズメ
出典:http://kitaibaraki987.blog.fc2.com
幼虫の食草は、バラ科の植物です。
後翅の桃色の模様がきれいですね。この模様から、モモスズメと名付けられたと考えられます。
エゾシモフリスズメ
出典:http://photozou.jp
シモフリという名前の通り霜が降ったような外見が特徴的です。
幼虫はホオノキやドロヤナギといった木を食草としています。
ホソバスズメ
出典:https://blog.goo.ne.jp
続いては、スマートな姿が印象的なホソバスズメです。
枯れ葉のような外見が特徴的ですね。翅にある斑も、枯れ葉の穴のように見えます。
幼虫はヌルデなどの木を食草としています。
セスジスズメ
出典:https://ja.wikipedia.org
翅の黒褐色の筋が印象的なセスジスズメです。
幼虫の食草はヤブカガシ、ホウセンカ、サトイモ、サツマイモなどで、作物の葉を食い荒らすため害虫として扱われています。
キイロスズメ
出典:https://matome.naver.jp
名前の通り黄色っぽい色が特徴的なキイロスズメです。先程紹介したモモスズメやこのキイロスズメなどのように、スズメガの仲間にはこのような鮮やかな色が入った種類も見られます。
幼虫の食草はヤマノイモやナガイモ、オニドコロなどになります。
最後に
ここでは、『スズメガ科の蛾はどんな蛾?幼虫の食草や種類は?駆除対象?』というテーマでお送りしてきました。
当記事で紹介したことを簡単に纏めさせていただきます。
- 蛾の仲間の中では特徴的な見た目をしている
- 空中で静止する「ホバリング」という技をもち、花の蜜を吸う。海外ではハチドリとよく比較される
- スズメガの仲間には種類も多く、食性もさまざま
- 幼虫は農作物を多量に食べるため害虫扱いされることも多い。幼虫自体はある程度育てば大きくなるので目視で発見もしやすい
こんな感じで、スズメガは他の蛾とは一風変わった雰囲気、魅力がある蛾です。幼虫が農作物に害を与えることがあるのは残念ですが・・・。
見かけることがあれば、少し足を止めて観察してみてもおもしろいかもしれませんね。