みなさんは、トムソンガゼルという動物を知っていますか。
よくライオンのような肉食動物に襲われているイメージがあるかもしれませんが、実際は走るスピードがとても速く、肉食獣にとっても捕まえにくい厄介な相手です。
今回は、そんなトムソンガゼルについて解説していきます。
基本情報
ウシ目ウシ科ガゼル属に属し、ガゼル属の中では最も広く知られる種類の1つです。ガゼル属の動物の中では小柄な部類です。
トムソンガゼルの体長は80~120cmほどで、体重はオスが20~35kg、メスが15~25kgほどとなり、オスのほうがメスより大きくなります。
体色は薄い茶色で、おなかの部分は白っぽくなり、薄衣茶色と白色の境界線には黒っぽい帯模様が入ります。目の周りは白色で、目から鼻にかけて黒い模様が入ります。
トムソンガゼルは角を持ちますが、角の長さはオス25-43cm、メス7-15cmとなり、オスのほうが長い角を持っています。
トムソンガゼルはケニア、タンザニア、スーダンといった国のサバンナや草原地帯に生息しています。
特にセレンゲティと呼ばれる地域(タンザニア北部~ケニア南東部にまたがり、ケニアの部分はマサイ・マラで有名です)に多く生息しています。
名前の由来
トムソンガゼルという名前は、スコットランドの探検家であるジョセフ・トムソンが由来とされています。
彼はアフリカ分割においても重要な役割を果たした、優れた探検家でした。
トムソンガゼルの生態
トムソンガゼルの食べ物
トムソンガゼルは草食です。主にイネ科の植物などを食べて暮らしています。
雨季は餌が豊富にありますが、乾季になると餌を求めて移動することになります。
社会的行動
トムソンガゼルは群れを作る生き物で、メスやその子孫などが集まって多いときは数十匹にもなる群れをつくることもありますが、グループのメンバーは常に一定とは限らないようです。
また、オスは縄張りを持つこともあり、縄張りは角で草などに傷をつけたり、マーキングしたりして自分の縄張りを示します。
なわばりの境界線でオス同士がかち合うといざこざも起こりますが、そこでお互い傷つけあったりすることはありません。
群れで生活することで、敵の接近にいち早く気付けるというメリットもあります。
繁殖
オスはメスの尿を嗅ぎ、そのメスが発情期にあるかを調べようとします。これはフレーメン反応(動物が臭いに反応して唇を引き上げる現象)としても知られています。
メスが発情期にあるとわかれば、オスはメスに飛び乗ろうとします。メスは子を産む際には群れを離れ、1度に1~2)の赤ちゃんを産みます。1年に2回繁殖し、妊娠期間は半年ほどです。
うまれた赤ちゃんは数時間程度で走ることもできるようになりますが、さすがにおとなのトムソンガゼルにはついていけないため、生まれてから数週間程度草むらの中で休みます。
母親に育てられた後は、メスは自分の母親の群れに、オスは若いオスの群れに加わるのが基本のようです。
トムソンガゼルの天敵
トムソンガゼルの天敵にはチーター、ライオン、リカオン、ハイエナなどの肉食動物が挙げられます。
ストッティング
トムソンガゼルはストッティング(あるいはプロンキング)と呼ばれる4本脚をすべて跳躍させる行動をとることがあります。
なぜこのような行動をとるかは諸説があります。一説としては天敵に自分が獲物とするには適していないと示すため、などがあります。
天敵から逃げる能力
トムソンガゼルは草食動物で、肉食動物の狙いの的になることも多いです。
しかしトムソンガゼルは最大で時速80km/hほどで走ることができ、加えて俊敏でジグザグに走ったりすることもできます。
トムソンガゼルの主な天敵はチーターが挙げられます。チーターは最大で時速100km/hほどで走ることができ、トムソンガゼルよりスピードは速いですが、スタミナと俊敏性ではトムソンガゼルに分があるため、なかなかチーターにとってもトムソンガゼルは捕まえるのは簡単ではありません。
ライオンやヒョウなどにもおそわれることがありますが、これらの動物はトムソンガゼルにスピード、俊敏性ともに劣ります。
そのため、これらの動物はトムソンガゼルのこどもや衰弱した個体を主に狙います。
トムソンガゼルといえば肉食動物によく襲われているイメージがあるかもしれませんが、実際は非常にスピードも敏捷性も高いです。
天敵の多いアフリカの世界を生き抜くことができるのも、これがひとつの理由です。
以下の動画は実際にガゼルがチーターを振り切る動画です。こちらもぜひご覧になってください。
生息数が減ってる?
トムソンガゼルは準絶滅危惧(NT,Near threatened)としてIUCNのレッドリストに記載されています。
生息地の変化や旅行者による影響、道路の建設などが個体数を減少させている要因となっており、実際に1978年から2005年までの期間で個体数が60%減少してしまったという報告もあるようです。
日本の動物園にはいる?
トムソンガゼルの飼育実績がある動物園は日本にも複数あります。
一方で園のHPを見るとどこも名前が確認できないことが多く、現在日本の動物園でトムソンガゼルを見ることはできないのかもしれません。
あまり情報がないので、最新の情報はご自身で問い合わせて頂くのが良いかと思います。
トムソンガゼルの寿命
野生下でのトムソンガゼルの寿命は10~15年ほどとされています。
最後のまとめ
最後に内容を簡単にまとめておきます。
- トムソンガゼルはアフリカの草原に生息する草食動物
- 群れを作って行動することも多い
- 高速でかつ俊敏に走ることができるため、肉食獣にとっても簡単に捕まえられない
- 生息数は減少傾向で、IUCNのレッドリストにも記載されている
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