チスイコウモリは、コウモリ目チスイコウモリ科に分類されるコウモリの1種です。名前に「チスイ(血を吸う)」とある通り、血を餌としているコウモリで、まさに吸血鬼です。このことは、チスイコウモリは英語でvampire batと書きますが、日本で吸血鬼のドラキュラを意味する英語はvampireなことからもうかがえます。では、チスイコウモリはどのようなコウモリなのでしょうか。今回は、チスイコウモリについて生態などをみていきたいと思います。
大きさや生息域
大きさは7~9cm、体重はだいたい25~40gほどで、最大で50gほどです。メキシコからアルゼンチンのあたりまで、中南米の広い範囲に生息しています。なお、日本には生息していませんのでご安心ください。
チスイコウモリの生態
チスイコウモリの餌は?血を吸う?
冒頭で述べた通り、チスイコウモリは吸血動物です。すべての哺乳動物の中で最もユニークな食事をするともいわれています。では、どのように血を吸っているのでしょうか。
チスイコウモリは食事をする際、まずは獲物に歯で傷をつけます。そうするとそこから血が出てくるので、その血を舌を用いて舐めていくといった感じです。そう考えれば「吸う」という表現には少し語弊があるのかもしれませんね。
チスイコウモリは寝ている生き物などをターゲットにしています。牛などの大きな獲物であっても、チスイコウモリが血を食べている間起きることはありません。1晩で1オンス(28gほど)の血を消費し、1匹の獲物から血を食べるのに要する時間は20分ほどです。
チスイコウモリは2日以上何も食べずに生きていくことはできません。そのように獲物を見つけるのに苦労した場合でも、ほかの個体がはき戻した血を共有したりすることがあります。そういった社会性の高さにも注目が集まっているようです。
チスイコウモリの繁殖
チスイコウモリは100匹ほど、ときとして1000匹ほどにもなる大きな群れを形成していますが、その群れの中でもさらに小さな群れに分かれています。その群れはオス1匹とメス10匹程度からなり、1匹のオスはそこのメスすべてに対しメーティングができます。オスとメスが互いにキスをしあっているような姿が観察されることがありますが、これは実際にはオスがメスに血を分け与えることにより、メーティングを促している行動なのです。生まれたこどもは5か月ほどで独立します。
天敵はいる?
チスイコウモリはいくつかの天敵がおり、夜にも活動している鷹や鷲などが挙げられます。このコウモリは小さいので、天敵の鳥にとっては特に困難なく消費することができます。このような鳥チスイコウモリのすみかとなるような穴などで待ち伏せしています。そして、そこを出入りするようなチスイコウモリを狙っています。
また、人間もチスイコウモリの天敵となります。というのも、咬んだ傷から狂犬病なども含む病気の媒介がされることも考えられることなどから、彼らの家畜などがチスイコウモリに狙われることは避けたいのです。そのため、農家などはチスイコウモリに対する罠などを仕掛けています。
とはいえ、いまのところこういった罠が原因となって絶滅に繋がる、などというリスクはないようです。また、吸血コウモリが近くにいる、という恐れからか、人間によってハンティングされたり、住みかとして使っている穴を除去したりすることもあるようです。
チスイコウモリの寿命
寿命はだいたい9年ほどです。12年ぐらいまで生きることもあります。
最後に
いかがでしたか。コウモリといえばドラキュラや吸血といったたぐいが連想されたりしますが、このチスイコウモリはまさにそういったものとダブります。