空き地や田んぼなどに行くと、多くのバッタが飛んでいますよね。
昆虫少年だった方の中には、こういったバッタを追いかけて野原を駆けた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
イネ科の植物を食べるため、ときおり害虫とみなされる場合もありますが、多くの方にとって非常に身近な昆虫だと思います。
ここでは、日本にいるバッタの中から代表的なものを紹介します。
トノサマバッタ
バッタの中でも最も有名だと思われるのがこのトノサマバッタですね。
色は茶色のものと緑色のものがいます。草原や河川敷などにいます。
生息できる場所が近年減少していて、一般的な空き地などで捕まえるのは難しく、地域によっては河川敷などに行かないとみられないかもしれません。
- 体長:オス 約40mm メス 約60mm
孤生相と群生相
トノサマバッタは生息環境によって孤独相、群生相に分類されます。
個体密度がさほど大きくないところで育った個体は孤独相となります。一般的に普段あなたが目にするトノサマバッタは孤独相ですね。
一方、個体密度の大きいところで育つと群生相となります。
大量のトノサマバッタが集団で飛行して草や作物を食い荒らす、といった現象をあなたは聞いたことがありますか?
大量の個体が存在する場合、すぐ餌が足りなくなるためバッタたちは集団で大移動するようになります。これを飛蝗(あるいは蝗害)といいますが、これが発生すると瞬く間に草は食いつくされてしまいます。
バッタたちのターゲットが作物になることもあり、そうなると一日で作物が全滅してしまいます。このようなバッタこそが群生相のトノサマバッタです。
<孤独相>
<群生相>
出典:https://tce.ac.jp
外見上の違いは、孤独相のバッタは緑色が多く、翅が短く後足が長い一方、群生相のバッタは茶色が多く、翅が長く後足が短い、といったことが挙げられます。
また群生相のバッタたちは産卵数が減る傾向があり、性格なども異なってくるようです。
群生相となる状況はバッタたちにとっても個体が多すぎて都合がよくありませんから、産卵数が減るようコントロールされていると考えられます。
ショウリョウバッタ
トノサマバッタと並んで有名なバッタの一種です。こちらはトノサマバッタはあまりいないちょっとした空き地なんかにもよくいますね。オスの成虫は翅を広げて飛ぶ際に「キチキチッ」という音を立てます。このことからキチキチバッタとも呼ばれます。
- 体長:オス 約45mm メス 約80mm
機織り屋さん?
ショウリョウバッタには迷惑極まりない話ですが。ショウリョウバッタのメスの後足の両方を揃えて手で持ってやると、逃げようとするためかショウリョウバッタの体は上下に振動します。
その姿が機織りのように見えることにちなんで機織りバッタとも呼ばれます。バッタの足はちぎれやすいので試す際には気をつけてくださいね。
ここからは、青色の翅をもつバッタ、越冬をするバッタなど、ややマイナーな種類も含めこのほかの種類を紹介していきます。
ツチイナゴ
出典:https://blog.goo.ne.jp
この種は通常のバッタとは少し違った生活をしています。
一般的に、通常のバッタはイネ科の植物を餌としています。その一方ツチイナゴはクズなどの草原に多くいて、基本的にその葉を餌としています。
さらにはバッタの中では珍しく成虫のまま越冬することもあります。越冬する際はなるべく日なたなど暖かい場所を探して過ごしています。
その分成虫になる時期もほかのバッタより遅いです。一般的なバッタの生活環を時期だけずらしたような形ですね。
- 体長:オス 約50mm メス 約60mm
成虫と幼虫で体色が違う
ツチイナゴの成虫と幼虫をそれぞれ見てみましょう。
<幼虫>
出典:https://ja.wikipedia.org
<成虫>
出典:https://blog.goo.ne.jp
こんな感じで、成虫と幼虫は大きく色が違います。
ツチイナゴは10月ごろから成虫が現れ始めますが、成虫になるころにはほとんどの草が枯れているため、このような色にするのが保護色になると考えられています。
オンブバッタ
姿形はショウリョウバッタと似ています。いわばショウリョウバッタの小型版!といった存在ですね。
大きさ以外の違いを挙げれば、ショウリョウバッタに比べるとずんぐりしている、といったことや、オンブバッタの頭には小さなイボがある、ということが挙げられます。
あまり羽ばたかず、ピョンピョン跳ねるだけなので人間でも捕まえやすく、補虫網がなくても捕まえられると思います。
手頃に観察するには良いバッタではないでしょうか。
交尾する際に、オスがメスの上に乗っかる姿になぞらえてオンブバッタという名前になりました。
緑色の個体と茶色の個体がいますが、色が違ってももちろんおんぶします。イネ科植物のほかにシソなどを食べることもあります。
- 体長:オス 約25mm メス 約40mm
クルマバッタ(モドキ)
https://commons.wikimedia.org
トノサマバッタとよく似たバッタですが、後翅の模様の有無によって見分けることができます。
トノサマバッタの後翅は透明ですが、クルマバッタには後翅に模様があります。後翅なので羽ばたかないと判断できませんが、捕まえて翅を手で開けてみればわかります。
また、外見は全体的にトノサマバッタのほうが色がきれいで、クルマバッタは少しくすんでいたり、まだら模様になっている傾向がある気がします。
この模様により、羽を広げて飛んだ際車のタイヤの回転を連想させることからクルマバッタと名付けられました。
また、背中の部分がトノサマバッタと比べ盛り上がっています。飛んだ時に少し「ブルーン」といった感じの音がするのもこの種の特徴となります。
クルマバッタとクルマバッタモドキの違いは、同じく背中に「X」のような模様があるかどうか、で見分けます。
模様があればモドキとなります。※上写真はクルマバッタモドキです。
- 体長:オス 約40mm メス 約55mm
コバネイナゴ
田んぼなどでよく見かけるイナゴです。
イネの葉っぱを食べるため、農家の方にとっては害虫ともいえる存在です。名前の「コバネ」は、翅がおなかの長さに比べて短いことに由来しています。
- 体長:オス 約30mm メス 約40mm
イボバッタ
灰色のバッタで、名前の通り背中に2つのイボ(突起のようなもの)があります。
あまり草の生えていない環境を好み、色も地面に近い色をしています。路上などで見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。
- 体長:オス 約20mm メス 約30mm
カワラバッタ
出典:https://www.youtube.com
こちらも灰色のバッタですが、イボバッタのようなイボはありません。羽ばたかなければ隠れていて見えませんが、後翅がきれいな青色をしているのが特徴です
名前の通り河原によくおり、なかでも石が多いところに多いです。
カワラバッタの色が石に近いことからも納得できます。一方で環境の変化に弱いこともあり、人間の開発などが影響したのか数はめっきり減りました。
今では多くの都道府県で絶滅危惧種として指定されるほどになっています。
- 体長:オス 約25mm メス 約35mm
バッタの飼育法に関して
どの種類も基本的に同じやり方で飼育が可能です。飼育法については以下のページをご覧になってください。
最後に
ここで紹介した種類は
- トノサマバッタ
- ショウリョウバッタ
- クルマバッタ
- オンブバッタ
- ツチイナゴ
- コバネイナゴ
- カワラバッタ
- イボバッタ
です。
あなたはいくつ知っていましたか・・・?
機会があれば是非、一度観察してみてくださいね。