インドホシガメは、インド、パキスタン南東部、スリランカに分布するリクガメです。
黒っぽい甲羅に黄色い線が放射状に伸び、星のような模様を作ることから「ホシガメ」と呼ばれています。
美しい見た目から人気がありますが、温度や紫外線、餌などの飼育環境に敏感な種類です。丈夫なリクガメとは言いにくく、初めてリクガメを飼う人にはやや難しい種類といえます。
この記事では、インドホシガメの特徴や餌、温度、飼育環境、寿命などを紹介します。
インドホシガメの特徴
インドホシガメは、乾燥気味の草原や低木林、半乾燥地帯などに生息しています。農地や植林地など、人の生活圏に近い環境で見つかることもあります。
大きさには性別や地域による差があり、一般にオスよりメスの方が大型です。オスでは甲長25cm前後、メスでは30cmを超えることがあり、非常に大きなメスではさらに大型になる例も知られています。
星形の模様
最大の特徴は、甲羅に入る黄色い放射状の模様です。
一つ一つの甲板から黄色い線が外側へ伸びるため、甲羅全体にいくつもの星が並んでいるように見えます。
この複雑な模様は、草や落ち葉のある環境では甲羅の輪郭を目立ちにくくする働きがあると考えられています。
甲羅は高く盛り上がったドーム状で、個体によって甲板の中央部分がやや盛り上がることもあります。
雨季になると活発になる
インドホシガメの生息地には、雨の多い時期と乾燥する時期があります。
特にモンスーンの雨が降る時期には活動が活発になり、昼間にも歩き回って植物を食べる姿が見られます。
一方、暑く乾燥した時期には、早朝や夕方を中心に活動し、日中は植物の陰などに隠れて過ごします。
ただし、「高温多湿を好むカメ」という意味ではありません。
飼育下で常に蒸れた環境にすると体調を崩す原因になるため、湿度だけでなく通気性も重要です。
野生で減少しているインドホシガメ
インドホシガメは、IUCNのレッドリストで「危急種(VU)」に分類されています。
生息地の減少に加え、ペット目的で大量に捕獲されてきたことが大きな問題となっています。
実際、世界の違法なカメ類取引のなかでも、インドホシガメは特に多く押収されてきた種類のひとつです。
こうした状況を受け、2019年にはワシントン条約(CITES)の附属書Iに掲載されました。現在、野生個体を使った国際的な商業取引は厳しく制限されています。
以前の飼育記事では「現在流通する個体はすべて国内繁殖」と説明されることもありましたが、個体の由来を一律に断定することはできません。
インドホシガメの餌
インドホシガメは植物を中心に食べるリクガメです。
野生では、草、さまざまな葉、花、多肉質の植物などを食べます。果実を食べることもあり、昆虫や巻貝、動物の死骸などを口にした例も知られています。
しかし、野生で食べた記録があるからといって、飼育下でも果物や動物性の餌を積極的に与える必要はありません。
飼育下では、繊維質の多い植物を中心にします。
利用できる餌には、
- 食べられる野草
- イネ科の草
- タンポポ
- オオバコ
- 桑の葉
- 小松菜
- 大根やカブの葉
- チコリ類
- 食べられる花
などがあります。
一種類だけに偏らず、複数の植物を組み合わせます。
インドホシガメでは特に、繊維質が多く糖分の少ない食事が重要です。
果物は控える
リンゴやバナナなどを好んで食べる個体もいますが、果物を日常的に与えることはおすすめできません。
果物は糖分が多く、インドホシガメが普段食べる草や葉とは栄養の組成が大きく異なります。
以前は「葉野菜、野菜、果物をバランスよく」と紹介されることもありましたが、現在は草や葉を中心とした高繊維の食事を基本とする考え方が一般的です。
トマトやニンジンなども主食にする必要はありません。
また、甲羅や骨の形成にはカルシウムが必要です。餌の内容に応じて、爬虫類用のカルシウム剤などを利用します。
インドホシガメの飼育方法
ケージ
インドホシガメは、できるだけ広い飼育スペースで飼います。
水槽のような密閉性の高い容器より、トータステーブルなどの通気性に優れたオープン型の飼育設備が向いています。
幼体であっても、暖かい場所と涼しい場所を分けられるだけの広さが必要です。
成長に合わせて飼育スペースを広げ、成体では可能な限り広い環境を用意します。
隠れ家も設置し、暖かい側と涼しい側の両方で休めるようにするとよいでしょう。
温度
インドホシガメは寒さに弱いため、年間を通して温度管理が重要です。
目安として、
- バスキングスポット:約32℃
- ケージの涼しい側:約25℃
- 夜間:20℃以上
を維持します。
ケージ全体を同じ温度にするのではなく、暖かい場所から涼しい場所まで温度差を作ることがポイントです。
保温球などの熱源はサーモスタットで管理し、実際の温度を温度計で確認します。
冬は室温そのものが下がるため、夜間の温度にも注意します。
インドホシガメはヘルマンリクガメなどとは異なり、飼育下で冬眠させる種類ではありません。
湿度
湿度は飼育環境や個体の成長段階によっても異なりますが、低〜中程度を目安にし、通気性のよい環境を保ちます。
幼体では成体よりやや高めの湿度で管理されることもありますが、床材が常に濡れていたり、空気がこもったりする状態は避けます。
紫外線ライト
屋内飼育ではUVBを照射できる紫外線ライトが必要です。
UVBは体内でビタミンDを作り、カルシウムを正常に利用するために重要です。
インドホシガメは日光の強い地域に生息するため、十分なUVBを確保します。
ただし、紫外線量はライトの種類だけでなく、照射距離や設置方法によって大きく変わります。
使用する製品の指定された距離を守り、定期的にライトを交換します。
床材
床材には、土系の素材など、自然に近いものを利用できます。
地面を掘れる程度の厚さがあると、より自然な行動をとりやすくなります。
一方、ウッドチップや砂などを餌と一緒に飲み込むと、消化管に詰まることがあります。
餌は床材の上へ直接置かず、皿や平らな石などの上で与えます。
床材は汚れた部分をこまめに取り除き、清潔な状態を維持します。
水と温浴
インドホシガメがいつでも水を飲めるように、新鮮な水を入れた容器を用意します。
水入れは、自分で無理なく出入りでき、体を水につけられる程度の大きさと深さにします。水は汚れやすいため、毎日確認して交換しましょう。
また、飼育下では浅いぬるま湯で温浴させることもあります。週2回程度をひとつの目安にするとよいでしょう。
ただし、温浴を行うからといって床材を常に湿らせる必要はありません。飲み水をいつでも利用できるようにしながら、飼育環境の通気性も確保します。
インドホシガメの寿命
インドホシガメは長寿のリクガメです。
寿命については資料によって幅がありますが、30〜50年以上生きるとされることが多く、50年以上生きる可能性もあります。
飼育を始めれば、数十年にわたって世話をすることになる可能性があります。
小さな幼体を迎える場合でも、将来の飼育スペースや生活環境まで考えておくことが大切です。
まとめ
インドホシガメは、美しい星形の甲羅を持つ一方、飼育環境の変化に敏感なリクガメです。
- インド、パキスタン、スリランカに分布する
- 草や葉を中心とした高繊維の餌を与える
- 果物は日常的には与えない
- バスキングスポットは約32℃を目安にする
- 夜間も20℃以上を維持する
- 密閉した高湿度環境ではなく、通気性を確保する
- UVBライトが必要
- 冬眠させない
- 数十年にわたって飼育する可能性がある
以前は「高温多湿の水槽で飼うリクガメ」と説明されることもありましたが、現在は通気性や温度差、十分な紫外線、高繊維の餌などを組み合わせて環境を整えることが重視されています。

