あなたは、ヘビクイワシという鳥を知っていますか。
ヘビクイワシはその名前の通り、ヘビを食べることで知られています。
ここでは、そんなヘビクイワシについて、生態などを解説していきます。
ヘビクイワシとは
タカ目ヘビクイワシ科ヘビクイワシ属に属する1科1属1種の鳥です。非常に大型で、全長は1mを超し、体重は2.3~5kg程度です。
薄い灰色をしており、風切羽(翼後方に位置する一連の羽)は黒くなっています。目の周りはオレンジ色で、頭には黒い羽毛が飛び出て冠のようになっています。
また、ヘビクイワシは猛禽類の中では最も長い脚をもつことでも知られています。
ヘビクイワシの生息地はアフリカで、日本に生息している鳥ではありません。標高の低いところから標高3000mあたりまでの、主に草原や半砂漠に暮らしています。狩りをするのに不都合なので、背の高い植物が多いような場所にはあまりいません。
そのため、日本でヘビクイワシの姿をみるには動物園等へ足を運ぶ必要があります。ちなみに生息地である南アフリカやスーダンの国章には、このヘビクイワシが使われています。
寿命は野生下では10~15年程度となります。
名前の由来
ヘビクイワシという名前は、後述するヘビの頭を蹴って弱らせる習性からヘビを食べる鳥ということでヘビクイワシと呼ばれています。
また、英名ではヘビクイワシのことをsecretary birdといいますが、これは書記官のような鳥(=secretary:書記官)といった意味があります。このことから、日本でも書記官鳥と呼ばれることもあります。
ヘビクイワシの生態
ヘビクイワシの食べ物
ヘビクイワシは他の主な肉食鳥類とは違い、地上で歩きながら狩りを行います。1日の狩りの中で30km以上も移動することがあるようです。
食べ物としては昆虫やネズミなどの小さな哺乳類、ヘビ、トカゲなど多岐にわたります。大きめの動物を食べることはあまりありませんが、時にはそういった場合もあるようで、ガゼルの幼獣を食したという報告もあります。
「ヘビクイ」という名前の通り蛇を食べることもあり、コブラなどの毒をもつ蛇であっても彼等にとっては食料源です。一方で、名前から誤解する方もいらっしゃるかもしれませんが、ヘビばかり食べているわけでもありません。
蛇をキックする!?
ヘビクイワシはヘビやトカゲなどを食べる際、死んだり動けなくなったりするまで、ターゲットにした獲物の頭を蹴ることで知られています。このキックは自身の体重の5倍もの力があるといわれています。
その様子を捉えた動画がありましたので、興味がありましたらぜひご覧になってください。
ヘビクイワシが見れる動物園
日本のいくつかの動物園では、このヘビクイワシが飼育されています。東京の上野動物園や埼玉県の東武動物公園、千葉県の千葉市動物公園、静岡県の掛川花鳥園といった場所でみられるようです。最新の状況はわかりませんので、確実に見たい方は問い合わせてから行くとよいでしょう。
なお掛川花鳥園では、ヘビクイワシによるショーも開催されているようです。
生息数が減っている?
ヘビクイワシは過放牧等による生息地の減少や人間による狩猟等により生息数は減少傾向にあります。EN(endangered)としてIUCNのレッドリストにも記載されており、保護活動も行われています。
最後に
最後に内容を簡単にまとめておきます。
- ヘビクイワシはアフリカに生息する大型の鳥で、鳥の中では珍しく歩いて狩りをする
- 肉食でその名前の通り蛇を餌にすることもあり、中でも獲物が死ぬまで蹴ったり踏みつけたりする習性が有名
- 生息数は減少傾向で、絶滅の可能性が心配されている
- 日本には生息していないが、飼育している動物園はいくつかあり、ショーも開催されている