ミズカマキリは、カメムシ目タイコウチ科に分類される水生昆虫です。タガメやゲンゴロウなどに比べると知名度は劣るかもしれませんが、代表的な水生昆虫の1つでもあります。
後で具体的に解説する通り、名前に「カマキリ」とついていますが、外見がカマキリに似ているだけで、実際はカメムシの仲間でカマキリとは無関係です。
今回は、そういったミズカマキリについてみていきたいと思います。
大きさや生息域
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ミズカマキリの大きさは4~5cmぐらいです。日本全国に生息しており、海外でも中国やシベリアなど広く生息しています。
水田や池、沼などに生息していて、やや深めのところに多いようです。
飛ぶことができるためかプールなどで見ることもあります。動きは活発でないため、見つけることができれば捕まえるのも難しくありません。
ヒメミズカマキリやマダラアシミズカマキリといった近縁種も生息しており、これらの大きさは2~3cmぐらいとなります。
<ヒメミズカマキリ>
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ヒメミズカマキリもミズカマキリと同様日本全国に分布しています。一方でヒメミズカマキリはミズカマキリほど環境適応力は高くなく、個体数も少ないです。
そのため、山間部など限られた地域でのみみられる種類です。
もう1つのマダラアシミズカマキリは日本では八重山列島でのみ見られる種類です。池沼の減少に伴い、生息数は減少傾向にあるようです。
カマキリとは関係ある?
冒頭でも述べた通り、ミズカマキリと普通のカマキリは外見が似ているだけで、全然違う種類です。
というのも、ミズカマキリは「カメムシ目タイコウチ科ミズカマキリ属」に属します。
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一方で一般的なカマキリは「カマキリ目」に所属しています。
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図で表すとこんな感じですね。
ちなみに、これより上の分類は何かというと「昆虫綱」になります。昆虫綱には昆虫全体が所属します。
昆虫を第一段階で分類した時点で違うグループになるわけですから、外見が一見すると似ているとはいえカマキリとは全然違う種類なんですね。
図からわかる通り、ミズカマキリはカマキリよりもむしろ「カメムシ」に近い種類ということになります。
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ミズカマキリの食べ物
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ミズカマキリは肉食です。自然界ではオタマジャクシや小魚、ほかの虫などを食べています。
カマキリと同じように前肢で獲物を捕らえ、口吻を刺します。そして消化液を送り込んで獲物を消化し、消化されたものを吸い取るという特殊な食べ方をしています。
このことを体外消化と呼び、ほかにもタガメやゲンゴロウなども、このような体外消化を行います。
泳ぐのはあまり得意ではないため、じっくりと待ち伏せして獲物が通るのを待ちます。
ミズカマキリ細長く茶色の体であるため、枯れ枝に擬態することができます。そのため、獲物もミズカマキリの存在に気付かずうっかり近づいてしまうんですね。
幼虫は蚊の幼虫であるボウフラを食するため、ミズカマキリが多く生息する環境においては蚊の発生が少なくなる傾向にあります。そのため、ミズカマキリは益虫といえる要素ももっています。
ミズカマキリの飼育方法
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用意するもの
用意するものとしては入れ物に加え、水草などの足場となるものが必須です。入れ物は水槽や飼育ケースなど一般的な飼育容器でかまいません。
入れ物に汲み置きした水をいれ、水草を配置すればセッティングとしてはOKです。水の深さはだいたい10~15cmほどがベストです。
もともと泳ぎが得意ではないので、溺れることが無いよう水草や木の枝などの足場を必ず用意してください。
なお、ミズカマキリは飛行能力が高いので、逃げ出したりしないよう容器にはフタをしておくことも忘れないようにしましょう。エアーポンプなどは特に必要ありません。
ミズカマキリの餌
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ミズカマキリは先程も述べましたが肉食で、生きたものしか食べません。
飼育下で与える餌としてはメダカなどの小魚やオタマジャクシなどになります。
ミズカマキリはそこまで活発ではなく、餌を捕まえるのは得意ではありません。
動きが速いものは上手く捕まえられないので、できれば動きの鈍い水生昆虫等を捕まえて与えるのが理想です。
上手く捕まえられない場合は、弱らせてから与えたり、ピンセットでつまんで与えるなどの工夫をしましょう。
繁殖のさせ方
ミズカマキリは陸地に産卵します。なので産卵させたければ入れ物の中に土を入れてやるか、オアシスやミズコケのようなものを用意するなどして陸地を設ける必要があります。
オアシスが一番手軽にできるのではないでしょうか。水の深さより少し高さのあるオアシスを用意して、容器の中で立てて陸地となるようにします。
オアシスは容器の中の水によりべちゃべちゃになりますので、後はそのまま置いておきます。
交尾済みのメスでないと産卵から孵化にまで至らないので、オスメスを一緒に飼うなどして交尾させることも忘れないようにしてください。
複数飼育する場合は、共食いが起きないよう餌を十分に与えるようにしましょう。
冬眠について
ミズカマキリは寒くなってくると活動が鈍くなって冬眠に入り、翌年の4月ごろまではその状態が続きます。
なので冬眠の時期になれば日光や雨水が当たらない屋外で管理して春を待つのが良いようです。
ミズカマキリの寿命
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ミズカマキリの寿命は野生においては1年ほどといわれています。
卵は10日ほどで孵化し、孵化した幼虫は40日ほどで成虫になります。
ミズカマキリの価格
ミズカマキリがほしいけど採集できない・・・なんて方は購入することも可能です。
値段は1匹数百円か、高くても1000円未満で購入できると思います。そんなに高くはないので、気軽に飼育を始めることが可能ですね。
最後に
ミズカマキリには、ゲンゴロウなど他の水生昆虫とはまた違った魅力があります。あなたも是非、当記事を参考に飼育にもチャレンジしてみてくださいね。
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