あなたは、カササギという鳥を知っていますか。名前は聞いたことがあってもどんな鳥なのかイメージがつかない方が多いのではないでしょうか。
カササギは人間との関連性も高い鳥で、人間が持つさまざまな文化の中で登場している鳥です。
今回は、カササギについて、生態や人間との関係などについて解説していきます。
カササギの生息域
カササギはこのように、世界の広範囲に生息しています。
日本においては7県で繁殖が確認されており、そのほか9県で生息が確認されています。一方で、カササギはもともと日本には生息していなかったと考えられています。
もっとも古くからいると思われる九州のカササギは鍋島直茂、立花宗茂などといった九州の大名によって持ち込まれた、渡り鳥に交じってやってきた、などの説があります。
様々な説があり、日本にどのように定着するようになったかはまだ分かっていないのが実情です。
九州のものは朝鮮半島のものより中国のものに近いようで、中国のものと同亜種として分類されています。
ほかにも北海道などにもカササギがいますが、彼らは極東のカササギとDNAが一致するようです。とはいえ、これらのカササギがどうやって日本に棲むようになったのかは不明な点が多いです。
カササギの鳴き声
カササギの鳴き声を、あなたは聞いたことはありますか。見られる地域も限られていますし、聞いたことがない方が多いのではないでしょうか。
カササギは「カチカチ」といった鳴き声で鳴き、そのことからカチガラスなどとも呼ばれます。
上記動画は、カササギの鳴き声を収録した動画です。是非、鳴き声を聞いてみてください。
カササギの生態
カササギのたべもの
カササギは雑食性で、穀類や果実、昆虫、カエル、魚類などいろいろなものを餌として食べます。
カササギは、畑など作物に被害を与えるイナゴを食べてくれることから、益鳥として扱われることもあります。
繁殖
カササギは、10月ごろから春のはじめごろまで巣作りを行います。
枝などを用いて高い木や電柱に巣をつくり、卵(5~8個ほど)を産んでその巣でヒナたちを育てます。
一般的な鳥のイメージと違いはあまりありませんね。そして春から初夏にかけて巣立ちを行います。
天敵にはカラスなどが挙げられます。
七夕とカササギ・・カササギと人間のかかわり
カササギは、人間の文化とのかかわりも強い鳥として知られています。
例えば、七夕文化とカササギには深い関係があります。またカササギは百人一首の歌にも登場しています。
続いてそんなカササギと、人間や文化とのかかわりを見ていきたいと思います。
七夕とカササギ
織姫と彦星が1年に1度、七夕の夜(7月7日)だけ会える、といった物語はあなたもご存知かと思います。
この7月7日の夜に雨が降って織姫が彦星のもとに行くことができず、悲しんでいるときにどこからともなくやってきた鳥が翼を広げ、2人を会わせてあげた、という話があります。
この翼を広げた鳥が、まさに当記事で紹介してきたカササギなのです。
この話から、七夕の夜に架け橋を造る鳥として伝説にもなっています。中国ではカササギは七夕伝説に登場する鳥として人気があります。
なお、この話は地域によって違いがあり、晴れた日に橋渡しをするなどという話もあるようです。この話はカササギが日本に知られるきっかけにもなっています。
百人一首
出典:http://kominet.blog.jp
百人一首の1つにもなっている「かささぎの 渡せる橋に 置く霜の 白きを見れば 夜ぞふけにける」という歌をご存知ですか。
この歌は中納言家持(大伴家持)が詠んだ歌で、新古今和歌集にも掲載されています。
この歌は先程述べた七夕伝説と関係しており、冬の霜の白さをカササギが七夕の夜に造る架け橋となぞらえて詠まれた歌です。
県鳥
カササギは日本では佐賀県の県鳥として扱われています。同時に佐賀県では天然記念物にもなっているようです。
また、韓国では多くの自治体の鳥となっており、正式にというわけではありませんが国鳥としても扱われています。
佐賀県では天然記念物となっているため、文化財保護法という法律で保護されており、
- カササギを捕獲したり、傷つけたりする
- 無断でカササギの巣を取り除く
などの行為は禁止されています。(佐賀県内の指定の市町村)
また、カササギは鳥獣保護法の対象でもあるため、指定圏外であっても鳥獣保護法により保護の対象となっています。
最後に
最後に当記事で紹介したことを簡単に纏めます。
- カササギは世界の広範囲に生息し、日本でも一部県で生息が確認されている
- 鳴き声は「カチカチ」といった感じで、カチガラスとも呼ばれる
- 雑食性で、畑の害虫を食べることから益鳥とされることも
- 佐賀県では県鳥で、天然記念物にもなっている
- 七夕文化や百人一首など、人間の文化とのかかわりも強い
日本で見かけることは少ない鳥ではありますが、日本の文化とのかかわりも強い鳥であり、名前を聞いたことがある方は多いと思います。
野鳥ファンの方であれば、一度は見ておきたい鳥ではないでしょうか。
見かけることがあれば、是非足を止めてじっくりみてみてくださいね。
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